「結局どっちが悪いのか」チャイコフスキーの妻 あっきゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
結局どっちが悪いのか
クラシック界三大悪妻の1人という事で興味を持ち鑑賞。チャイコフスキーが同性愛者(そうだったんだ)と知りつつ結婚したものの、普通の夫婦でありたいという熱情に逆らえず、結果夫には激しく疎んじられ、心のバランスを失った妻は長きに渡って夫に金をせびりながら放蕩生活を送るという、「うーんどっちのせいなのか」と腕を組んでしまうストーリー。悪妻と言えども三分の理ありと言うのが作者の主張なのだろう。
期待していたメジャーどころの美しい楽曲達はほとんど作中に流れず、帝政末期のロシアの寒々しい光景が映画の陰惨さを増幅させていた。唯一美しさを感じるのは他の男との私生児3人とチャイコフスキーとで家族写真を撮る妄想のシーン。これが彼女の思い描いた理想の結末だったという事なのかな。
それにしてもボカシなしのスッポンポン男子の群舞は何を意味するのか。精神が崩壊しつつあるアントニーナの心象風景なのか、本当にあのように男を品定めしていたのか、はたまた監督(この人も同性愛者らしい)の趣味画像なのか。この辺り耽美派を自認する知人にぜひ見解を聞いてみたいものである。凡人としては銭湯にいるみたいな気分になってついつい色々比較しちゃったよ。
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