「インソムニア」別れる決心 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
インソムニア
自分が今も睡眠障害っぽいし、Cパップも使ったことあるためか、ある程度は共感できた。そんな睡眠不足の刑事ヘジュン。夫婦の職場が離れているため週末婚状態。セックスレスだと離婚の危機だと奥さんに聞かされて、とても情熱的とは思えない週末義理セックスを繰り返していた。ザクロやスッポンなんてのもいい伏線。ただ、指に食いつかれて痛そうだった・・・
刑事と被疑者による純愛と言ってしまえば簡単だけど、被疑者ソン・ソレが韓国語が苦手な中国人である点や、意外とデジタル人間であるという設定が面白いのです。絶壁の山頂から転落死した夫は、中国でソレが犯罪を犯していることを知っていて妻を縛り付けていた。彼自身も入国管理局に勤めて収賄なんかの疑惑がいっぱい。しかし、捜査の末、自殺として解決してしまうのだった。
そして13カ月後、妻の住むイポ市へ転勤となったヘジュン。そこの市場において偶然にも再婚したソレ夫婦と出くわしてしまう。新夫は詐欺まがいの投資コンサルタントで儲けていたが、損失が大きくなって逃げ回っていたという。そして第二の殺人事件が起きるのだ。
スマホを交換するといったアリバイ工作がミステリーとして秀逸ではあるものの、どこまでが真実かは闇の中。ヘジュンとしては真犯人だと確信を持ちつつも、ソレへの恋心からか「スマホを海に沈めろ」と忠告したりするのだった。
複雑な刑事の心理(最年少で警視になったとかでなんだか優秀な人みたい)で転任した海辺の町でも指揮を執るが、ソレを庇うやら犯人らしき人物を捜し当てるとか、もう入れ込みようは凄い。何しろソレがいてくれるおかげで不眠も解消したのだから。第二の夫殺しについては、プールの水を抜いて死んでいなかった夫にトドメを刺した感じに描かれつつも、よくわからない。この結末がわからないようにしたパク・チャヌク監督の力量を痛感した。だいたい、不眠症だとか現実と妄想を区別できなくなるストーリーは概ねこのような結末に・・・真実は「霧」の中だよ!
それにしても中国語と韓国語の意思疎通や、デジタルとアナログとの対比(最初の夫の家には大量のアナログレコードがあった)、タバコとかアイスクリームとか魚のさばきとか、なんだか考えさせられるシーンも多い。最も大きな対比は山と海だったでしょうか・・・それにしても絶壁の山が「クソ山」という名前だったので笑いたくなった。
今晩は。
今作は私の好きな解釈を観客に委ねるトーンが好きでして。
更に言えば、謎めいた夫が次々に亡くなるソレを演じたタン・ウェイさんの”キチンと寝てますか!”と思った程の眼の下の隈が印象的でした。
演出なのかな・・。演出でなければ医者に行った方が良いですよ、などと思ってしまいました。
あ、来週産業医から”γーGTPが500を越えていますが、貴方死ぬんですか!”と言われているNOBUでした。
尚、私には不眠という言葉はなく(ショートスリーパーですので。)登山をしていた頃にも、北アルプスで台風が来て周りが浸水したテントの中でオロオロしていた時に、独りシュラフで熟睡していました。おバカコメントですので、返信は不要です。では。