「いい意味で後味が悪い映画。」アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
いい意味で後味が悪い映画。
1980年代、アメリカでも日本でも、今より子どもの人権は守られていなかったとしみじみ感じた。
生徒を小馬鹿にし、尊厳を踏みにじる教師、自分の理想を押し付け、子ども自身を見ない親。
弱い立場の者への、言葉の暴力、力の暴力。
同時に、教師のいら立ち、親の子どもへの愛や不安を、大人の私は理解できる。
それらを、子どもに分かりやすく伝えることができる賢さ、余裕が大人の側にあればなあ。
一文無しでヨーロッパからアメリカに渡り、財を築いたユダヤ人の祖父は、孫のポールに「高潔な人になれ」と諭す。
アンソニー・ホプキンス、いい。
こういうおじいちゃん、一家にひとり欲しい(*^-^*)。
ポールは、少年特有の浅慮で、友人の人生を大きく狂わせてしまう。
父親によってポールは救出され、父親は「今日の自身の幸運をこれからの人生に活かせ」と説く。
この経験は、ポールの生涯の禍根になるだろう。
私にも、生涯の禍根がある。
そのことから学んだことは、「時を戻すことはできない、なら、選択するとき、2度と後悔しないように全力で選ぼう」ということ。
今では、その禍根は私の土台になっている。
この映画は、その時のすっぱい気持ちをよみがえらせ、私の中を底からかき混ぜた。
自分の中を再構築した気分。
私はまだまだ高潔な人ではないが、ポールは高潔な人になれますように。
この出来事を忘れないでと願った。
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