「人生は誰に対してでも公平ではない」アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 iccoさんの映画レビュー(感想・評価)
人生は誰に対してでも公平ではない
なんとも後味が複雑。
子どもに差別や不公平を教えるのは大人だというのがよくわかった。薄皮を一枚ずつ剥いでいくように不安と痛みがじわじわ襲ってきて、ラストまでそれは消えない。
移民、人種、偏見、色んなものを乗り越えて生きねばならなかった時代の人たちの痛みを、子どもの目を通して描いた素晴らしい作品。
主人公は自由で空想家な子どもらしい子どもなのだけど、移民としてある程度成功を収めた家族の期待する道は彼にとっては理想的な世界ではなく、ちょっとしんどい。
とはいえ差別を乗り越えて努力で幸せを手に入れたので、子どもにも負けない人生を歩ませたい親心は、私も親の身として理解できなくもない。
ユーモアに溢れた人格者のお爺ちゃんが荒ぶる孫を猛獣使いのように上手くコントロールしていたんだけど、お爺ちゃんがかけた沢山の言葉は多分その後の彼の人生のあらゆる場面で影響していると思う。
主人公は家族に恵まれていた。
ここが物語の核になる。
対して相方のジョニーはどうだろう。
恵まれない環境から大人にならざるを得なかった子の、子どもらしからぬ冷めた目。
子どもらしかったのはポールとイタズラしてた時だけ。
問題が起こるたび、この子が大人に対して意見する言葉は子どものそれではなかったように思う。甘えや媚びなどない、自分に対して優しくない世界の全てを理解しての言葉は、とても心に刺さった。
人生は不公平、幸運に素直に感謝する、この二つは私にとって忘れられないパワーワードになった。
正直、観た後に心が穏やかになる映画ではない。
けど、この世に生きる誰しもが知るべき真実が描かれていると思う。子どもの目を通してっていうのがまた真実味を増す。
私にも色んな後悔がありますが、それを映像化する勇気はありません。
それを考えても、監督が本当に心から過去のこの事実を、変えられるものなら変えたかったのだろうなと思います。
たとえ世の中が平等にはならなくても、自分が世の中の不平等に対してそれが当たり前だとは思わずに生きていきたいと思います。
それでも生きていけば良い時も来る、そう信じて生き抜くしかないんだと思いつつ、今日も後悔が増える日々は続きます。この世界なんか終わってると思いつつも、時々、良い事があり生かされている日々です。
感謝!^ ^ m(_ _)m
良いレビュー感謝です。^ ^
監督は100%実体験を再現したと言われてましたが、自分もその通りだと思いました。あの時、なぜあんな事をしたのか、なぜ理想の行動が出来なかったのか、あの時のお父さんの気持ちが今になってやっと分かったなど、後悔の日々です。(><)
たぶん監督もその後悔を晴らす為に事実どおりに撮ったのだと共感しました。この世は矛盾だらけ、、