劇場公開日 2023年6月23日

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「和風テイストな無限ループもの」リバー、流れないでよ 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5和風テイストな無限ループもの

2025年2月1日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
無限ループものは多くの作品がありますが、歴史好きとしては、京都・貴船が舞台となっているところに興味を惹かれて鑑賞してみました。

【率直な感想】
<パワースポット貴船とは>
貴船神社は、京都の中心部から北側に向かった場所にある鞍馬山の麓にある神社で、「縁結び」という御利益で有名な場所です。
また、祭神は、水を司る神様。
このことから、題名が「リバー」であるということと、冒頭のシーンで、貴船神社と思われる場所で、お参りをしている女性が映し出されるのは、ある意味、必然のことではないかと思います。

<ループの初期位置>
本作品の主人公である女性・ミコトは、貴船にある料理旅館の仲居をしています。
ループが始まった時、ミコトは、貴船を流れる川(リバー)のほとりに佇んでいます。
貴船で働いている彼女は、貴船神社の祭神が水を司る神様であることは知っているはずなので、川に向かって佇んでいることには、何らかの意味が隠されているのでは・・・。
などと思いを巡らせる間もなく、物語はスピーディーに展開していきます。
何しろ、ループの間隔がきっちり「2分間」と非常に短いため、何度も何度もループしてしまう。
また、ループ現象は、ミコトだけでなく、旅館で働いている人たちや、お客さんにも起きていて、物語の前半は、てんやわんやのコメディタッチ。

<とても日本的な作品>
ところが、物語も中盤に差し掛かってくると、ループ現象を体験している人たちが力を合わせて、ループからの脱出に取り組み始める。
非常事態に遭遇した時に、自分だけが助かればよい、というのではなく、皆で知恵を出し合う中で乗り切ろうという姿勢は、とても日本的な展開になっていると思います。
また、ループ現象の原因を考えた時に、登場人物たちが、全員ではないけれど、「もしかして、自分が原因では」というようなことを告白し始める。
こういう行動も、ハリウッド映画ではとても考えられないことではないかな、と思います。
そして、「縁結び」。
神様に「縁結び」をお願いするという行為も、かなり日本的なのではないでしょうか。

【全体評価】
ループ現象という題材を、京都・貴船というパワースポットを舞台に、日本人らしい行動パターンで描いた作品として、とても楽しめる作品であったと感じています。

悶