劇場公開日 2024年4月26日

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「勇気と安心感をありがとう」一生売れない心の準備はできてるか たま虫さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 勇気と安心感をありがとう

2025年11月30日
iPhoneアプリから投稿

本作の主人公は、バンド「やちむん刺激茄子」を率い、30年以上にわたって音楽活動を続けるもヒット曲のないシンガーソングライター奈須重樹。
一体どんな人物で、どんな音楽なんだろう?と興味が湧き、鑑賞してみた。

すると、いい意味で軽薄かつKY、俗世的で、等身大、酒が好きで飾り気がない、自分にも他人にも正直で、独特のポリシーを持つ、、、不思議な魅力を発する男が、そこにいた。

メロディーラインも歌声もなかなかに素敵なのだが、伝わり来るメッセージはおおむね薄っぺらい(笑
(胸にジーンとくるバラードなど薄っぺらくない曲もあります)

多くの歌詞やMCの中にウケ狙いポイントがあるのだが、天は彼に笑いのセンスを与え賜わなかったようで、時おり映画館の中に苦笑や失笑が漏れる。

だが、である。最後まで鑑賞するうちに、たとえ曲が売れなかろうが、バンド仲間に去られようが、諦めることなく楽しげにオリジナルソングを歌い続けるこの男から、勇気と安心感をもらっている自分に気づいた。

人生につまずき、迷いの中にいる皆さまには、本作のご鑑賞をお勧めします。

最後に、全編にわたって散りばめられるライブ映像はバックバンドのクオリティー含め十分に楽しめるものだったことをご報告しておきます。

「曲が先か詞が先かと聞く人がいるが、愚問。まずはテーマだ」
「ライブ終わりによくある、一度ひっこんでアンコールを受けてまた出てくる演出、、あれは悲しみしかない」
「はい、もう帰っていいですよ〜」
といった味わい深い名言も出て来るのでお楽しみに。

ひげしっぽ