「カンフーおばさんVSプロレスおばあさん、時々プロフェッサーおじい」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス バスト・ラーさんの映画レビュー(感想・評価)
カンフーおばさんVSプロレスおばあさん、時々プロフェッサーおじい
潰れかけのコインランドリーを経営する平凡な女性エブリンは、ある日突然平行世界から来た別次元の夫ウェイモンドに“平行世界全体崩壊の危機、救えるのは君だけだ”と騒動に巻き込まれる、バースジャンプと呼ばれる平行世界の自分にアクセスしてさまざまな技能を習得できる技術を駆使して襲撃者に立ち向かう、果たして宇宙の運命は、、、
見始めはバースジャンプの仕組みが分かりにくいかと思ったけど案外すぐに慣れる、というかジャンプするためのキー(マトリクスでいうとログアウト時の電話を取る、みたいなやつ)がくだらなすぎて何か細かい設定とかどうでもよくなる
さて我らが主人公エブリンはユニバース全体に偏在する個体を持つ特異点のような存在(普通の人は数パターンの似通った人生を持つだけ)
の中でも最底辺の個体、夢想家で様々なことに挑戦しては挫折を繰り返す集中力のない人間
実は彼女の挫折こそが別のエブリンの成功に枝分かれしており、バースジャンプによって万能の力を引き出すことができる(集中力のなさ自体も映画と勘違いしていたものがラカクーニバースだったりとこれまで装置なしでも別のユニバースを白昼夢として見ていた可能性が仄めかされている)
対する全ユニバースを脅かすカオスの化身ジョブ・ドゥパキの正体は、エブリンの一人娘ジョイのアルファ体
アルファバースの母の人体実験で精神を壊されおちゃめな破壊者になってしまうどこぞの饒舌な傭兵のような存在(※キルズマーベルユニバースを参照)
ジョブも俺ちゃんと同様その騒々しい装いは無限のユニバースを知覚し、たった一人で永遠にも等しい時を生きる孤独を隠す鎧である
全ユニバース崩壊の鍵“ベーグル”もたったひとつの存在、自分を消し去るために作られたもの、もっと輝ける自分があった、と現在の自分を否定するエブリンと実に似た者親子だ
どんな人にでも愛すべき所はある、どんなに今が最悪でも楽観的になることは大きな武器、意地悪でいるよりも優しく出来ることの方が強い、
指がソーセージだったりケツにトロフィーぶっ刺したりくだらなさのオンパレードなのにストレートなメッセージが心を温める不思議な作品
アカデミー賞授賞式の興奮冷めやらぬまま、マルチバースをもっと理解しようと天文学やら宇宙論やらの動画を見始めたら止まらなくなって一晩中youtubeにはまってしまいました。
パラレルワールドが互いに干渉するバカバカしさのおかげで笑ってしまいましたが、ブラックホールに収束するとか、∞宇宙の可能性を考えると映画野中にも興味深いところもありました。
気になっているのはミシェル・ヨーのシャッフル画像の中にアニメ画像もあったこと・・・スロー再生してみたいです。