「夜の歌舞伎町に響くバッハ」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス zuzuさんの映画レビュー(感想・評価)
夜の歌舞伎町に響くバッハ
クリックして本文を読む
マルチバースと聞いて、クールな世界を想像していたが、
映像も、設定も、徹底的にシュールでカオスだった(たまにグロ×ギャグ)
早すぎる展開、多すぎるマルチバース、メチャクチャな設定、、
伏線なのか、本筋なのか、パロディなのか、単なるギャグなのか、、、どうついて行けばいいかわからない。
置いていかれながら、IMAXの大画面をぼ〜っと眺める。
カオスの中で、時々、一つの小さなメッセージが静かに響く。
頼りないと思っていた夫がつぶやく
当たり前な一言にハッとするエブリン。
残虐なサイコパス大魔王と化した娘への愛に気づく。
カオスの世界の中で、閉じていたエブリンの心が徐々に開いていく。
周囲の混沌と相対するように、穏やかな愛と静寂に包まれる。
映画が終わって外に出ると、目の前の大きな窓に、歌舞伎町の夜景がどーんと広がっていた。一瞬息を呑む。その瞬間、ギャーンとパイプオルガンのバッハの旋律が聞こえてきた
・・・ような気がしたのは、きっと映画のせいだろう。
帰り道を急ぐと、人々が一斉に空にスマホを翳して何か撮っている。振り返ると、映画館のビルの上に巨大な顔を覗かせて、ゴジラが雄叫びをあげていた。
夜の歌舞伎町でエブエブ、
ブラボー!
コメントする