「奇想天外な世界観を期待したが・・・」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
奇想天外な世界観を期待したが・・・
チラシにもあるように、本年度アカデミー賞の最多ノミネートにして大本命ということで観に行きました。内容的に事前に知っていたのは、この世には別の宇宙が存在していて、主人公のエヴリンが別の宇宙に飛んでカンフーの達人になり、全宇宙を危機から救うというものでした。筒井康隆などがしばしば描いたパラレルワールド物の一種であり、別の宇宙や世界が存在するという設定は、言葉を選ばずに言えばありふれたSFという印象でした。ただ、「マルチバース(並行宇宙)」という初めて聞く言葉とともに紹介されていたりして、如何にも新しい概念を発明したかのような宣伝の仕方であり、かつまたアカデミー賞の最多ノミネートという外部の評価も相まって、一体どんな奇想天外なる物語が展開されるのか期待して観に行った訳ですが、果たして結果は・・・
エヴリン一家は、中国からアメリカに移住して洗濯屋とコインランドリーを経営していたものの、税務署からはカラオケ機器を経費に入れたと言って脱税を指摘され、サンダルをコインランドリーに入れる客の相手をし、家の中でも車椅子生活の頑固な父親の世話をしなければならないと、日々の暮らしに追われており、洗濯屋の経営危機と家庭崩壊の危機にある。そんなエヴリンが、夫に憑依した別宇宙の人間から、宇宙を救って欲しいと依頼を受ける。最初は意味が分からなかったエヴリンも、ラスボスが娘であることを知り、立ち向かうこととする。そして娘と対峙したエヴリンは、最終的に事態を収め、全宇宙の危機と家庭崩壊の危機を救うというお話。
戦いの過程で、いろんな宇宙にワープするエヴリン。そのテンポが非常に早く、ストーリーもどんどん進展するのは評価出来るものの、事前に期待していた奇想天外なる物語だったかというと、全くそんなことはありませんでした。また、ストーリー的にも平凡な生活を送る人がひょんなことからスーパーマン的な活躍をするという流れで、これまたありふれたもの。正直アカデミー賞にノミネートされたのがイマイチ理解出来ない作品でした。
そんな訳で、評価は★2としたいと思います。