「エンタメ全部盛りのカオス映画」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス Y Kさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメ全部盛りのカオス映画
アカデミー賞最多ノミネートに興味を持ち鑑賞
感想
既存のコンテンツやオマージュを全てぶち込んで、文字通りの意味で一つにまとめあげた快作。今作一本で3,4本映画を観た程の満足度が得られた。一方で、マルチバースの画面切り替えの速さに置いていかれる部分もあった。
・物語構成
物語自体はマルチバースの破壊を目論むαバースの娘との対決というシンプルな物語でありながら、バースジャンプをする度に人格、分岐が増えて物語が別バースと行き来するので、理解しづらいと感じる部分はあった。しかし、ジャンプ先での悲しき運命、別バースへの羨み、最後の方が親子愛である事など共感しやすい要素も多々あり率直に楽しかった。
・脅威のマルチバース表現
マルチバースへの移動による画質、画角、見た目の変化の連続表現は初めて観た表現方法で新鮮さ感じた。一本で、レミーのおいしいレストランといった馴染み深いアイデアも取り入れられており、その点で見易いと感じた。
バースジャンプした人間達のジャンプ前とのギャップがとても面白かった。奇怪な行動をして、ジャンプ先を伸ばすと言うアイデアも妙案で、馬鹿らしさと説得力の両方を兼ね備えた楽しいアイデアだと感じた。
・アクション
エヴリンがジャンプをして発動するカンフーアクションがとにかく爽快でカッコよかった。カンフーアクション鉄板の構えからの一撃倒し、板回しなどカンフーアクションも十分に堪能できた。
・演技
ジャンプ前と後の演技が全くの別人で、俳優陣の演技力には終始圧倒された。
・格差表現
人種、言語、同性愛、格差社会など現代の社会問題を自然に取り入れた脚本の自然さには脱帽。
総評
率直に楽しい、予測不要なノンストップカオスファミリーアクションムービー。未知のマルチバース表現にただただ圧倒され続けた。