劇場公開日 2023年3月3日

  • 予告編を見る

「人生を変えるラストチャンスに集中しろ…どの世界も優しさで回ってる!世界と世界がぶつかり合うことがあっても愛があれば、家族であれば」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5人生を変えるラストチャンスに集中しろ…どの世界も優しさで回ってる!世界と世界がぶつかり合うことがあっても愛があれば、家族であれば

2023年3月3日
Androidアプリから投稿

マトリックスでインセプションでスターウォーズ!!! おまけにルッソ兄弟製作ということあって"マルチバース"を広めた立役者スパイダーマンNWHはじめマーベル(MCU)!主人公エブリン(EVERYと掛けているの分かりやすいけど好き)が映画スターの世界線パートはあの残像が残る感じやライティングなどウォン・カーウァイが監督しているみたいだったし、チャウ・シンチーっぽい瞬間があるかと思えば、その勢いのまま『ビルとテッド』✕『2001年宇宙の旅』みたいになったり自由。
そのどれもであって、そのどれでもない未体験ゾーンな映像体験やアイデアとド直球な笑いと感動の渦に観客を巻き込む核、そして賢さ。"こんなの見たことない"から家族愛へと期待を裏切らない内容で、心の土鍋が満たされ溢れる、クッキーとベーグルをグチャッと詰め合わせたように超濃厚な2時間超だった。想像を超える大きな世界の辿り着く先は、指の間から見たような小さなことでした。何者かになりたかったぼくたちへ、ついついダラダラ過ごしちゃうぼくらも肯定してくれる。昨今のアメコミ人気はじめ幾重のSF映画が長年にわたって描いてきた理論(紙を折ってペンで刺すやつ)に観客皆が慣れた土壌と、技術が進歩したからこそ成し得た"映画の魔法"。これを映画的カタルシスと言わずになんと言うか?

あなたといつまでもいたい、もはやミシェル・ヨー(讃歌)・マルチバース??! これもまた"the one"選ばれし者プロットな本作でコミカルなジャッキーばりに身の回りのものを使った小物アクションを披露しながら自身がしっかりと演技もできることを今一度強力に証明してみせるミシェル・ヨー、というかもはやジャッキー・チェンに見えてくるくらい優しさと格好良さをカット毎に使い分けるキー・ホイ・クァン、そして"いかにも"アメリカ体型なオバサン監査官で強烈な存在感を放つジェイミー・リー・カーティス!あの少年だったキー・ホイ・クァンがこんなに最高な形で高評価&また人気再沸騰なのが素直に嬉しいし、映画好きとしてはミシェル・ヨー対ジェイミー・リー・カーティスって対戦カードがもう既にアツい。国税庁の建物内で(ほとんど)本編終わる映画なんて、探してもなっかなか無いんじゃないのか?

突拍子もなくバカらしいことほどよくて遠くまで飛べる!IMAXの本編直前につく「胸が張り裂ける世界、心が熱くなる世界。一つの世界に留まる必要はありません」って宇宙で終わるIMAX宣伝予告が今まで日本語だったのに、今回突然英語音声/日本語字幕仕様だったから、そこからもう本編始まっているのかと思った。「流石はマルチバースを扱った作品だな〜めちゃくちゃ粋だ」と感心しながら見ていたら、普通にその後にGAGA配給のムービングロゴが流れてきて、「違うのかい!」とズッコけそうになった。ともあれこれはやっぱりIMAXの大画面と音響で見てほしい。いや、体感してほしい。
なんでもどこでもいっぺんに開眼せよエブエブ!日本版ポスタービジュアルがチープで、本国と比べるとダサい。ある意味ではこれも御涙頂戴日本フォーマット映画に見られる"ブロッコリー"方式か?

P.S. 見たかった本作やった見られた!それと、この予告見るの初めてじゃないのに『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME3』予告で今更初めて鳥肌が立った。これはマーベルに食傷気味な"MCU疲れ"とは関係なく、普通に一本の映画として見たいな〜と。

私たちのような愛らしさのない女が世界を動かしてきた。あなたは愛らしい。

とぽとぽ