「たまたま墜落した場所に。」ヤーラ TRICKSTER10さんの映画レビュー(感想・評価)
たまたま墜落した場所に。
実話を基にした社会ドラマ。
実際におきた事件を映像にすると、作品としては単調なものになりがちです。
今作も淡々と物語は流れていくのですが、事件を追う女性検事の執念に惹き込まれていきました。
イタリアの人口7,000人ほどの小さな町で起こった、13歳少女の行方不明事件。
行方不明から3か月後、町はずれでラジコン飛行機を飛ばしていた男性が偶然遺体を発見します。
そこからさまざまな捜査が行われるのですが、空振りが続き、誤認逮捕まで起こる始末。
女性検事は世間からの批判にされされます。
捜査は続き・・・
実際の事件でも最終的に、遺体から抽出されたDNAと合致する人間を特定するために、集団検診による約18,000人ものDNA検査を実施。当時のヨーロッパ史上例を見ない、莫大な費用が掛かる捜査となり、税金の使われ方・人権問題など、大きな議論を巻き起こしたようです。
日本で同じような事件が起こった時に、このような捜査は出来るでしょうか?お金の問題もありますが、大規模なDNA検査に人々の協力は得られるでしょうか?
また、イタリアでは警察組織は4つに分かれているようです。日本では過去の大きな事件でも、組織同士の手柄の取り合いや捜査状況の秘匿などで、初動捜査に大きなミスが出た事などはよく語られた話です。しかし本作を観ている限りでは、イタリアでは組織同士非常によく連携し協力体制をとり捜査されていました。
同じ状況でこの事件が起こった場合、日本では解決出来なかったのではないかと思います。
検事自身も少女の母であり、最初は事務的に事件に接していたのが、被害者の両親との面談から事件に没頭していく姿も見どころの1つです。
およそ90分で上手くまとまった作品でした。
by TRICKSTER10