「悪魔が神に成り上がりそこねる」鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
悪魔が神に成り上がりそこねる
原作は知らないまま、「復讐者スカー」に続けて「最後の錬成」も観ることになりました。今作に至って、とにかくホムンクルス軍が敵であり、彼らの背後に「お父様」の計画が横たわっていることが分かりました。お父様は完璧な存在になるため、様々な欲望を人造人間→ホムンクルスとして切り離していたと言うことでいいですかね。
この物語は、神あるいは神ならぬ者が作った玩具箱が舞台。玩具箱の中の建物には研究室があって、そこの机上のフラスコから、ダークファンタジーがモクモクと生み出された訳です。ファンタジーは全て玩具箱と言えば、その通りですが、フラスコ中の小さな悪魔が神を目指す話の、その壮大さは実に面白かったです。
◉「真理の扉」が怖すぎる
扉を開くためには、何かかけがえのないものを等価交換で差し出さねばならない。真理と人との契約と言うより、恐るべき掟。「思い上がった人間には正しい絶望を」なんて、それでは「真理」は人の手には入らないではないか! 今回、神さえも絶望を喰らわせられた。
いや要するに完結編で、エドが錬金術を失ってしまったのが、残念でならないのです。何か条件付きで、また術が使える新シリーズを観てみたい。
◉己との闘い
「フラスコの中の小人」が山田涼介君に変身して、闘うとは! 悪人と化したエドが凄みがあり過ぎて、この危機感一杯の展開。この倒錯的とも言える戦闘シーンに、しばし釘付けになりました。昔々、マンガの孔雀王に似たシーンがあったかも知れません。
まぁ何があろうと、エドは有るべき道を切り開いた訳ですが。
前回は人VS人の剣術や体術が闘いの中心だったですが、今回はVSホムンクルスとの妖異溢れる対決がメイン。エンヴィの本郷奏多さんの死は悲しいけれど、その潔さに対して、後ほど献杯しておきます。
準ラスボスであるキング・ブラッドレイを、死と引き換えに倒した、フーとグリッグス軍の将校にも盃を。敵を羽交締めにしたまま、友軍に突き刺されるのは、見るからに辛そう。