「動物の命の軽さと司法のおかしさ」彷徨う魂 花風水さんの映画レビュー(感想・評価)
動物の命の軽さと司法のおかしさ
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私もこの映画のモデルになった事件で、動物虐待の闇の深さに気が付き、問題意識を持った者です。
人間がここまで、抵抗のできない小さい弱い存在に対して残虐非道になれるとは...。
当時、余りの衝撃に必死で署名を集め、その総計が22万筆となったと聞いたのに、蓋を開けた判決は、懲役1年10ケ月、しかも執行猶予付き…。
余りの刑の軽さに愕然としました...。
被害者が動物であること、犯人が初犯であること、前例が無い事?などが理由だったようですが、そんなものを軽く超える程の、稀にみる猟奇残虐連続快楽殺事件ですし、22万筆超えの民意は全く無視の驚き...。
この映画でも、そのおかしさが見事な対比で描きだされており、動物のあまりの命の軽さと、被害者が人間なら、未遂でもその前の経緯を鑑みても即収監で刑執行される重さ...。司法のおかしさ、壊れてゆくささやかな普通の幸せ...。
その悲しさとやるせなさ、行き場のない怒り…、往年の名曲も相まって、号泣のラストシーンでした...。
動物の物扱いのおかしさと、司法のおかしさ、自分よりも弱い者を虐めて快感に浸る異常な輩の存在―。
今までなし崩しにされ闇に葬られていたたくさんの問題に光を当て、白日に晒してくれた凄い映画だと思います。
ただ、見落としていたかもしれませんが、映画中に実際の虐待映像が使われており、その残虐さを伝える為には必要とも思います...が、最初にその旨のテロップが無いと、よく知らずに観た人は心的に病む可能性があると思いました。
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