「♪︎あ~われ あ~われ…」忌怪島 きかいじま 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
♪︎あ~われ あ~われ…
今度は島だ!
村をあっさり捨て、島に移り住んだホラーの名匠ならぬ“迷走中”の清水崇。
私が好きな島は“獄門島”とか“悪霊島”。別口で“怪獣島”もいいけど、そういうの。
つまり、古い因習残る閉ざされた島で奇怪な殺人事件が起こり、名探偵が…。
名探偵は出ないけど、一応本作もそんな雰囲気の島。
今尚シャーマンが住む南のとある島。
さらに島には“イマジョ”の伝説も。有力者に手篭めにされた上、その妻たちに散々いたぶられて惨殺された身分の低い女性。
これは全くの作り話ではなく、“イマジョ”の伝説が残る島は実際にあるという。奄美大島の一つ、その名も“喜界島”。
おそらく本作の島や設定など、この島辺りがモデルになっているだろう。ロケした島は違うらしいが。
つまりは“実在の恐怖村”をただ島に置き換えただけなんだけど、そういうのが見たかった訳さ。
実は当初、劇場鑑賞を予定していた。結局スルーしたんだけど、その理由の一つが…
本作のもう一つの要素。
VR。
島を拠点にしているVR開発チーム“シンセカイ”が、メタバースに島をそっくりそのまま創造。
って言うか、島に実際にいるのに、何でそんな事するの…? 天才の考える事は分からん…。
このチームに全くそう見えない天才脳科学者・友彦が参加。彼のプログラムは風の感触や潮の匂いなども再現。凄すぎて想像が追い付かん…!
島×VR。全く相反する題材で斬新な世界を創り上げようとしたのだろうけど…。
チームに不幸があったばかり。メンバーの一人が変死。
さらに、協力していた島の男性も同時に。
友彦は、島にやって来た変死した男の娘・環と調べ始める。
残された脳データに、赤い服の女の姿。彼女は何者…?
周りで不可解な現象続く。シャーマン曰く、“イマジョ”の仕業。
やがて現実と仮想空間、科学と呪いが交わり…。
清水監督が新たに世に放つ最恐キャラ、イマジョ。
赤い服、腐乱した姿、不気味さはあるが、残念ながらさほどインパクト残らず。もう伽椰子さんや俊雄くんのようなキャラを生み出すのは難しいか…?
鳥居から現世とあの世を行き来するイマジョ。入り込んでしまったのが、VR世界。結構方向音痴…?
イマジョをVR島に閉じ込めようとするのだが…。
…というのが、大まかな話。
イマジョ復活の背景に、島の孤独な老人シゲが絡み、笹野高史の哀愁たっぷりの演技はいい。
が、清水作品いつもの事ながら、話が…。
面白味がない、よく意味が分からない、破綻しているの三拍子。
何か今回、殊更それを感じた。
そしてこれまたいつもながらの無事解決してないようなオチ。
続編でも作るの…? このまま宙ぶらりん…? そのままにして別の島に行くの…? いい加減、もういいよ。
キャストも全く不発。
西畑大吾は天才脳科学者には見えないし、生駒里奈他チームメンバーはほとんど空気。山本美月も勿体ない。
笹野サンとシャーマン役の老女しか印象残らなかった。
ま、グループファンは主演を見ているだけで満足なんだろうけど…。
村も評判良くなかったけど、個人的にはさらにイマイチ。
これならまだ村に居た方が良かったんじゃね…?
村から島へ。暫く島に留まるかと思いきや、その島も早々とオサラバして、“ウタ”へ。
これで面白くて怖いんならいいんだけどさ、だってねぇ…。
劇中の歌が皮肉にしか聞こえない。
♪︎あ~われ あ~われ…
村で迷子になり、今回は島に漂流~遭難。
清水は駄作から脱出する事が果たして出来るのか…?