劇場公開日 2024年3月22日

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「「時代」という大きな船が進路変更に舵を切るには時間がかかる」コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話 ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「時代」という大きな船が進路変更に舵を切るには時間がかかる

2024年3月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とても重たいテーマでした。
その割に淡々と時が過ぎていきがちかな、本当はもっとドロドロした部分はあったのではないかと邪推してしまいます。
マフィアとのやり取りとか、金にまつわるグループ内でのいざこざとか、主人公の夫婦間・母娘間・隣人との関係、警察の絡み具合などなど……
そこが描かれていたらもっと見ごたえのある作品になったのではないでしょうか。
「カラーパープル」からもう少し後のアメリカ、それでも今と比べれば男女間の立場の格差は歴然、そして妊婦の前で平然と煙草の煙をくゆらす医療関係のお偉いさまども!この馬鹿ちんが!と、今なら声を大にして叫べるところですがねぇ。
辛い思いをしてきた人々の声、最初は小さな声でも積り重なって大きな潮流になる、だけどそれは巨大な船が瞬時に進路変更ができないのと同じで、ゆっくりと見た目にはわからないけれどいつの間にか方向を変えていた、みたいになるのでしょうね。
それにしても判決を下したのは保守的な共和党のニクソン政権時代だったというのは、歴史に疎いワタシにはなんだか不思議に感じました。
画像的には1960年代の無駄にデカいアメ車から1973年の判決の時にはヒッピースタイルに移り変わっているカルチャーが観られて、そこは面白かったなぁ。

なんだかバイデン政権下で妊娠中絶のあり方が見直されたけど、それが世界中で不幸な女性を増やすことの引き金にならないことを願うばかりです。

ニコラス