マイ・ブロークン・マリコのレビュー・感想・評価
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恥ずかしながら帰ってまいりました
恥ずかしながら日常はループする、
恥ずかしながら日常は、継続し回帰する。
自分にとって大切な、死んだ人にまた会うには自分が生きているしかない。
その通りだと思う。
ここでは、ストーリーとして、シイちゃんとマリコという二人の個人の関わりにおいてそのことが強く語られ、窪田正孝演じる男の口からも漏れる。
死者とまた会い死者とまた語りそして死者を語るには、私たちは生きて生き続けなければならないのだ。ウクライナで!パレスチナ で、ミャンマーで、香港で、シリアやイラクで、そのことは実感され生きて出会い生きて忘却を拒み生きて語り続けられていることだろう。
そこまでの大きな広がり、と、舞台である日本の生活、シイちゃんのブラック企業、小さく殺風景なアパート。くたびれたスーツと黒のパンプス、ターゲット顧客となる高齢者、マリコのありえないくらい不幸な家庭環境、それを当たり前と刷り込まれた故の人格形成とそれによる災難、性被害暴力被害などの具体的に閉鎖的な抑圧。
そして驚嘆すべき、どんなピンチやどん底の時に持ちよっとおもろいことを言って自分を笑い飛ばすシイちゃん。シイちゃんはこれができたこと、と、成長と共にぶっ壊れていくマリコを支えるという使命に支えられてきたから恥ずかしながら飛んだり跳ねたりひったくられたりラーメン牛丼お弁当ガツガツ食べたりしながら生きている。
窪田正孝のセリフのテンポがよい。
マイブロークンマリコは、マイブロークンジャパンであり、マイブロークンワールドだ。
頑張ってる永野芽郁を見れた
テレビドラマに出ている永野芽郁を見てると、
まあ、アイドルに毛が生えたような感じがしたが、
この映画ではもう一歩女優として踏み出している感じがして
好感が上がった。
ちょっとやさぐれた感じといつもの永野芽郁が交錯している感じで
きっと数年もすればもっといい味が出せるのではないかなと思った。
映画の内容は微妙にコミカルな設定であるにも関わらず、
虐待→自殺という思いテーマを扱っていて、何となくアンバランスな
感じがしたかな。
これは僕がいつも感じていることなんだけど、
漫画でない限り、主人公の一人語りは自分に酔いしれている痛い人という
印象が拭えないのであまり好きじゃない。だって、どんな辛い状況でも、
一言二言独り言を言うことがあっても、長々と一人喋りをするなんて状況、
幻想でも見てない限りないと思うんだよね。
まあ、トモヨには見えてたってことなんだと思うけどね。
それに状況を説明しすぎな感じになっちゃうじゃない?
別に窪田や両親に吐露すると言う設定でも良かったわけだし。
なんかマリコは子供の頃は父に虐待を、大人になっても彼氏にDVを、
そして自殺。して何一つ救われないドラマトモヨに最後手紙が来て何か
嬉しいことが書いてあって、トモヨ的に何か救われる思いがあったのかもしれないけど、
根本的には単に不幸になるために生まれてきた女性の自殺という何も解決しないのが
スッキリしないかな。
別にトモヨがまりこのお父さんを殴ったところで何も解決はしないんだけどさ。
トモヨは遺骨を奪って逃走して、
そのさきに何があったのか?散骨とは違う形で海に遺骨を撒き散らし、
それを悔やむわけでもなく、なんか結局平凡な日常が待っているという
ある意味リアルでけど、物語としてどうなのか?という感じがした。
これは全体通してそうなのだが、マリコとの思い出を各場所で挿入していくが
全てが悲しい思い出て最後まであげる部分はなく何となく終わった感があり
物語としてはあまり評価しづらいかなと思った。
なのでストーリー★2.5、永野芽郁★1合計で★3.5
男前だぜ!!永野芽郁!
男前でいて繊細な映画だった。
永野芽郁&タナダユキ。
2人のカッコいい女たち。
「ダチが死んだ」
食堂でラーメンを食べていたシイノ(永野芽郁)は
テレビのニュースで
親友のマリコがベランダから転落して死亡したのを知る。
子供時代から親父に虐待され、ぶっ壊れていたマリコ。
直葬されて実家にあるという遺骨。
ドスを仕込んで両親の家へ殴り込み、
遺骨を奪取する。
壊れて死んだマリコを取り戻した。
それまでのグチャグチャの人生に戦い疲れ、
もがき疲弊した愛すべきマリコ。
永野芽郁のやさぐれ感が本物の人生を
生きる人間を感じさせる。
菜緒も、マリコの流されて搾取される弱さ、
人生を諦めた女の儚さを、
実感させてとても良かった。
ブラック企業に勤めるシイノトモヨ26歳。
どんな家族がいて、
どんな人生を生き方をしてきたか?
多くを語らないのがいい。
観客が考える多くの余白が、
半分空っぽだったマリコの
人生を映す。
マリコの「シイノ依存症」
小学生からずうっと20年も、
マリコは頑張ったんだよ!!
ガス欠!!
人生のガソリンが尽きた!!
笑えるシーンが多かった。
遺骨を奪取して2階のベランダから飛び降りる。
そして大きな川を浸かりながら渡るシイノ。
2人の行き先は、海。
マリコが行きたかった「まりがおか岬」
ここからはロードムービーに変わる。
吉野家で遺骨に牛丼を備え
(割り箸を立てる)
そしてしっかり2杯食べ尽くすシイノ。
酎ハイ3杯飲んで酔客に啖呵切るとシイノ。
“どうして相談ひとつせずに、死んでしまった?“
シイノの心は千々に乱れる。
「まりがおか岬」でマリコの亡霊と修羅場を演じ、
遂に遺骨はシイノの手から飛び立つ!!
帰路、マキオから貰った駅弁を、発車前にカッ込む。
腹は減っている。
生きていれば腹が減る。
そして、
《シイノトモヨ、恥ずかしながら、帰ってまいりました。》
・・・戦い済んで、汚いアパートに・・・。
きっと少しだけ逞しくなったシイノは、
マリコの分もこの先、
戦って、負けながらも、
戦って、
生きて行く。
ジワジワと、よかったな〜、と思える作品
永野芽郁主演です。まあ、ほぼそれだけで観にいきました。「俺!物語」の実写映画でヒロインを演じた頃から気になって、「ひるなかの流星」って、ベタベタな少女漫画原作のヒロインで、おぉ〜これはいい!、と密かに推していました。そうこうしていると、朝ドラヒロインになって、すっかり有名になりましたね。
「君は月夜に光り輝く」って、これまたベタベタな恋愛映画もありましたね。どんなストーリーかは忘れましたが、要は「セカチュー」ですわ。「わたすい」「君嘘」と言ってもいいかな。残念ながら「きみつき」みたいに略語が出来るほどヒットしませんでしたがね。
さて、映画の方ですが、なかなか面白かったです。やさぐれOLのトモヨは、ニュースで親友のマリコが自殺したことを知る。毒親の家庭で育ったマリコ、トモヨはそんな親からマリコの遺骨を奪い、生前に行きたがっていた岬を目指す。
所謂ロードムービーで、登場人物もトモヨと、回想シーンでのマリコ、と岬で出会う男の3人ぐらいしかいない。まあ遺骨と二人が中心なので、独り言かモノローグが多くなる。ならば、漫画にすれば良いのに、と思ったら漫画原作でした。Kindleで速攻で買い、短編なのであっという間に読めます。
原作を読んで思うのは、映画の方も、もっと構図を凝ってみても良かったかも。原作の良さってテンポなんですよね。映画は丁寧な分、モサッとしているかな。「まりがおか岬」へ行こうと思い立つカットも、泣かせたいのは分かるが、もっとトモヨの思い立ったら即行動の
機敏さを出した方が良かったかも。
最後のマリコからの手紙に何が書いてあったのか?映画でも原作でも語られていません。ただ、トモヨはマリコからの手紙を読んで、納得した終わりになっているので、本編からの流れに沿った解釈で良いんじゃないか、と。
たぶん「生まれ変わってシイちゃんの子供になるね。だから佳いひとを見つけて幸せになって」ではないか、と。ハッピーエンドに振り切るなら、こういう救いのある解釈にしたいですね。
永野芽郁ですが、この役どころには合っていたと思います。元美少女のやさぐれOLってのがポイントですからね。でも、こういうドスの効いた役が似合うか?と言われると、美少女枠で言うと、そこは橋本環奈の方が向いていますかね。
菜緒のぶっ壊れた感じは良かったです。彼女の拗らせ系の演技は上手かった。パンケーキ屋のセリフも、途中から肩を落としリラックスして「私はただシイちゃんが心配してくれればいいの」と上目遣いで語る、ここは上手いな〜と。
全てを語らず、読者に解釈を委ねる感じの原作だったので、映画オリジナルをもっと入れても面白かったかも。私なら菜緒のマリコをもっと掘ってみますかね。
父親や交際相手からDVを受けまくってトモヨしか心を許せる相手がいないマリコ。では何故マリコに黙って自殺したのか。助けて欲しいというメッセージは無かったのか。そのあたりを掘り下げたいかな〜。
映画の監督さんは逆で「これはトモヨの葛藤の話だから」という感覚だったようです。なので、マリコの本心は分からないまま、トモヨ目線だけで作品としています。これはこれで正しいんですがね。
気づくと結構、感想を書いてしまった。観た直後は「駄作ではないが、なのが引っかかるのだろう」って程度の感じでしたが、後からジワジワと楽しめる佳い作品でした。
永野芽郁、よかった。
最後の手紙のシーンは、
何書いてあるのか?
一瞬考えたけど、わかるのは、
マリコが、笑顔になる内容だった事だけ。
多分、宝箱の中に入っていた、
メモ手紙を凝縮した様な事だった。
つまり、遺書を読みながら、行きたかった岬への旅をしていたということかな?
生きていく事って、楽しい事と、悲しい事
どっちが多いのかな?
悲しい時、本当に近くにいてくれた人は
多分、一生忘れない。
他人に対して、してあげられなかった事も、
多分、一生忘れられない。
自分が、人生に何を求めるか?
金?地位?快楽?
自分が、本当に求めているものは、
ひとりひとり違うから、違うもの求めて、得たとしても、
幸せになれないって思う。
何を得ても、ないものねだりになっちゃう。
今わかるのは、自分が本当に求めていたものは、
手に入らなかったって事だけ。
それを踏まえて、生きて行くだけ。
絶望も、高望みもせず、
ほのかな希望は忘れずに。
2人の演技が凄い!
永野芽郁さんと奈緒さんの演技が凄かった!
お互いが依存しているように見えました
そして奈緒さんの
わたし壊れてるよ
っていうセリフがとても印象的で
今もその場面が目に浮かびます、、
とてもいい映画です!
ありがとうございました!
『このご恩は一生忘れません』
原作未読
永野芽郁のヤサグレ演技に、本年度の"頑張ったで賞"を授与したい作品。
勿論、実際のヤサグレ感を表現するにはかなりの不足なのだが、清純派俳優の脱却を目指しての幅広い役柄を模索しているその七転八倒感は非常に好感を抱く。だからこそ、その役柄と実際の俳優としての人間性がシンクロした時に、人は感激を憶えるのではないだろうか。唯演技が上手いというだけの壁をブレイクスルーするには過程も大事なんだと、今作品を通じて強く感じた。
発露の頂点、クライマックスは崖での遺骨を置いての身投げのシーン。正直、涙が止まらなかったのはその前迄のキチンと描かれた構成であろう。キチンと耕せば綺麗な花が咲く。身を以て体感したストーリーテリングである。
いかがわしいの
これは永野芽郁の代表作になるだろうと思われる。クソ上司の電話には出ず、面と向かって暴言も吐くし、一人飲みに出ても大声で亡きマリコの遺骨に叫ぶ。ファンキー、がさつ、怒鳴る・・・と、ちょっとお友達になりたくなる。ただ、同じ服で3日間過ごす彼女には近づきたくないけど。
薄幸の少女マリコと共依存の関係であるかのように親友を続けていたトモヨ。百合ではない。あくまでも助けてもらいたい、頼ってもらいたいといった不思議な関係。トモヨにずっと彼氏が出来ないというのも、なぜか魅力たっぷり。
遺骨を持って海に散骨するわけでもない。両親から骨を奪い取ってやりたかっただけのようにも見える。そして本人の目の前で手紙を書くというキャラも魅力的に映る。言葉に出来ないけど、ずっと一緒にいたい・・・。そんな手紙の束も入ったリュックをひったくられるという事件。ケータイや財布よりもずっと大切なマリコの手紙たち。そしてマキオの登場。しわくちゃの五千円札がまぶしい。
学校に向かわないでバスを降りた女子高生の存在はあざとかったけど、結果は良かった。スカー-ーっとしたよ。そしてエンディングでは多分遺書ではなく通常の手紙を読むシーンで締めくくられるが、普通の映画ならナレーションが入ったりテロップが流れたりするものなのに、シイノトモヨの笑顔だけで終わるという潔さ。この終わり方にもしびれた。
暗いけど面白い
友人の薦めで鑑賞。
全体的に暗い話ながら、主人公シイノのタフさ、親友マリコへの想いなど伝わってきました。
虐待や離婚、現代社会の闇ですね。
お互い不幸な境遇にあったから、共感できる
ものや深い絆があったのかな。
どんな出会いであれ、親友と呼べる人がいるのは良いことですよね。
まりがおか岬にて要所要所で助けてくれる
マキオもいい味出てます。
結構、死ねないんですよ、ここ。
半年前に試しました。
大丈夫なように見えますか?
見えます。
とか、さらっと言う笑
もういない人に会うには生きていくしかない、というのは印象的な言葉。思い出の中のその人との記憶を大事にする、、現実世界でも大事な考え方と思います。
映画観てから漫画版を読みましたが、改めて破天荒な作品と感じました。
つらい現実があっても、
シイノのように逞しく生きていきたい。
タバコ
永野芽郁がカッコいい。
ハコヅメとは違うキャラのサバサバした男勝りな女性を好演。
永野芽郁さん演じるトモヨも当然ながらかっこいい。
ブラック企業に勤めながら自分を失わずに電話帳にも「クソ上司」と登録して、上司に対しても上司のペースに飲まれず逆に自分のペースに持っていってしまう。
自分には絶対無理なことなのでとても憧れる。
そんなトモヨがマリコが死んだという事実で動揺する。
クソみたいなマリコ実父から遺骨を奪って旅に出る。
作品の展開も無駄なくそれでいて面白く濃密でとても濃い85分だった。
とはいえこの映画の評判を上げてるのは永野芽郁さんの魅力と奈緒さんの演技、助演の皆さんの演技にあることは間違いないと思う。
特に印象に残ったのはトモヨの幼少期を演じた子役さん。
トモヨのサバサバしたかっこよさは子役で出すのはなかなか難しいと思うが、この子役さんの演技で十二分に出ていた。
こんなことを僕がいうのも烏滸がましいがこの子役さんは将来爆売れするだろうなと思う。
亡くしてしまった人に会う方法は、自分が生き続けることだ 生きて、そ...
亡くしてしまった人に会う方法は、自分が生き続けることだ
生きて、その人を思い出すことでだけ、会えるんだ
その結論が誰かを亡くしてしまった人へのささやかな希望でよかった。
内容はかなり観る側に投げるような形だったなと思う。
父親の真意も、マリコの最後の手紙の内容もわからない。でもなんとなく想像できる。
多分父親は失くしてから気づくタイプだし、後悔する自分がかわいい人間だろうし、一生直らなそう。
マリコの手紙はきっといつも通りの内容だったんじゃないかな…
だからこそマリコがいる世界が平行してどこかで繋がっていて、日常にマリコがいる感覚になれるというか…
あと、自分の中の大きい後悔を救うには、似たような状況でもう一度やり直す疑似体験をする(救えなかったあの頃のマリコに重ねた女子高生を救う)ことでしか救われないのかもなぁと思った。
マリコのことちゃんとめんどくさいってトモヨが思ってるのがよかった。
ただ綺麗なだけの思い出にしたくない、めんどくさくて苛つくけど、どうしたってかけがえのない存在こそが大切だと思うから。
ただマリコがトモヨに執着する理由はわかるけど、トモヨのマリコへの依存はなんとなくわかるけどそこまで…?って気がして伝わらなかった。
この社会の片隅で
鑑賞後、ぼんやり色んな事を考えてはいるのだが、きっとこの感傷も日常にすり潰されていくのだろう。
距離感や孤独って事を考えてる。
コレは友情なのだろうか?それとも自己肯定感を補填する為の無意識な何かなのだろうか?
びっくりする程、単独だ。なのだが、自分も家族を持っていなければ似たような境遇なのかとも思う。
マリコもシイノも社会から一線を置いてるように見える。マリコの場合は故意に隔絶されてもいて痛ましいのだけれど、シイノは煩わしさに耐えられないのだろうか…常に1人だ。
強いからではなく、きっと彼女は怖いのだろうなぁと思う。
そんな彼女を唯一、彼女たらしめる存在「マリコ」
うがった見方だろうか…?
人は1人では生きていけないっていう別の側面を見ているような気にもなる。
彼女の前に色んな人が現れるのだけれど留まる事がない。彼女がマリコ以外を引き止めようとしてないように見えるからだ。
まぁ、でも、特異な事ではないか。
俺にはそう思える。
主演の2人はとても熱演だった。
壊れてるマリコが絶品だった。
物語に描かれてない時間を宇宙の如く膨大に感じた。
なんか2人を通して自分のこれまでを省みている。目立つような重圧を感じてはいないが…シイノのように麻痺してるだけなのかしら?
…。
まぁ、麻痺してるとしても治療するアテも治療出来る人にも心当たりはない。誰かと比べても、その誰かになれるはずもないので、この人生を歩むしかないのは明白だ。
そんな事をツラツラ考えてる内に、シイノが海に向かったのは、半ば強制的に浪費されていくだけの命への反抗なのかなという思いに至った。
生きて行くシィちゃんの物語
死んだマリコも辛いが、背負って生きて行くシィちゃんももっと辛い‼️
シィちゃん強いですよね〜。
死のうとしても死なせてもらえない。
お腹はすくし、かっこ悪くでも家に帰ってきてしまう。
遺書の内容は描かれてなかったですが、きっとクスッと笑える日常のただのお手紙だったんでしょうか。
不思議とほっこりしちゃいました。
重い内容ながらも、観終わった後、暗い気持ちにはなりませんでした。
マリコは猫を連れて大好きなシィちゃんと一緒に暮らしていくんだろうなぁ。。
がんばれ!シィちゃん!
マンガと映画、メディアの特性と時間
原作はいきなり頭を殴打されたようなインパクトで一躍話題になったマンガ。私も当時夢中になって読みましたが、細かい内容は大体忘れたところでの鑑賞です。
原作マンガはそれこそインディーズ映画のような、突き進む勢いとエネルギーが魅力だと思いますが、実際に映画になると同じストーリーを描きながら全く印象が異なる。時間の流れをいかようにでも扱えるマンガと、一定の時間の流れの中で進まざるを得ない映画というメディアの特性をとてもよく現した例なのではないかと思いました。
例えば冒頭、食堂でたまたま流れていたテレビのニュースで親友の死を知るシーン、原作を読み直すと、1ページ目の3コマと2ページ目の扉絵という、たった2ページで描かれている。これを実写ドラマ映画で状況がわかるように組み立てると、どうしても1、2分はかかるということになりますね。
結果、主人公の無謀で衝動的な行動とともに一気に読ませるマンガに対して、映画は死者との対話を軸に構成された内省的な内容という印象が強い手触りとなっていました。骨壷との逃避行でたどり着く海岸は、原作読んでいた時には何となく九十九里程度の印象を持っていましたが、映画では青森でしたね。これもスピード感の違いから生まれる印象だと思います。
やや暗い映画。
実の父親から幼少期より虐待を受け、思春期には父親に性的虐待まで受けていたマリコ。顔の傷と心の傷が痛々しい。社会人となりマリコにも彼氏ができるが彼氏にまで手を挙げられてしまう。
こんなことがあったら死にたくもなるよなぁと感じる。
そんなことがあってもマリコはシノイの前ではずっと笑顔。
シノイがマリコの父親に包丁を向ける姿はマリコと重なり、また悲しい。
旅の途中で出てくる窪田正孝が味があってとてもいい。
出てくると思ってなかったからなんか得した気分だった。
最後のマリコからの手紙は内容が分からないならこそいい演出なんだと思った。
【良かった点】 白眉はラストカット!、手紙を読み、涙し笑みを浮かべ...
【良かった点】
白眉はラストカット!、手紙を読み、涙し笑みを浮かべる主人公、そこには何が書かれているのかあえて言及しないお洒落な終わり方が最高だった。毎日テレビで流れる人の死。その人たち一人一人に今回のようなストーリーがあり、大切な人がいる。そうしたニュースで消費され、流れていってしまうであろう気持ちを改めて気づかせてくれる良作。永野芽郁ちゃんの体当たり演技も魅力。遺骨とのロードムービーという斬新なストーリーも◎。
【良くなかった点】
マリコへの気持ちが追いつかず、若干マリコの言動にイラついてしまった。ただ、自分たちにとってはおかしな人でも主人公にとっては大切な存在だったんだと自分を戒めて鑑賞した。でもあんな友人は欲しくないな笑
親友の死に向き合う
親友の死をテレビで知り、彼女の遺骨を盗むことで彼女との人生を見つめ直す。
彼女の過酷な人生や2人のエピソード、そして今を生きる主人公の行動。それぞれに繋がりが出来るのだけど、その繋がりが弱く感情を揺さぶられることがなかった。
そして物語の主軸となる亡くなった親友の遺骨をどうするのかに対するアンサーが欲しかった。
なんかその場しのぎの回答だった様に思えた。
もう一つ彼女からの手紙は何が書かれてたのか?その回答もないまま終わるのってありなのかと思った。
何故マリコだけだったのかは分からないけど。
マリコちゃんの不幸体質が見ていて痛々しかった。
愛情をちゃんと注がれないと、我慢するし自分が悪いと思い、そこにつけ込むヤツにまた狙われて悪いループに入る。
嫌なら嫌だと言えない関係性は本当の恋人同士じゃないんだけど、途中で本人も分かっててもそういう主従っぽい恋人関係を続けてしまう。で、苦しくなる。そこから逃げる手段の1つに、命を断つことを選択肢の1つに加えてしまう。悲しい。
シイちゃんは吹っ切れてる演技で、さすがブラック企業に居られてしまう強い女子で良かったです!
こんなに無断欠勤を数日続けて大丈夫なのか?と思ったら想像以上に会社のほうが普通じゃないのでお咎めなし。
「迷惑かけたと思うなら辞めずに働け!」
「あ、そこまで迷惑かけたと本気で思ったか?と言われれば。。そーでもなかったかもっす。」
「何ー!仕事しろー2件は取ってこーい!!」
。。もう上司とのやり取りがほぼコント(笑)
最後のマリコちゃんからの手紙、もう少し具体的に内容知りたいな〜というところは少し残念でしたが、シイちゃんは笑顔にもなっていたので、何かしら納得出来る内容が書かれてあったのだろうとは思いました。
あと、マリコにはシイちゃんしかいなかったのはよく分かるけど、シイちゃんにもマリコだけだった理由がよく分からなかったのでそこの脚本は残念でしたが。。
行動力のある強い主人公を演じ、『地獄の花園』『そして、バトン〜』でも見ていた永野芽郁ちゃん、かっこ良い社会人女性で良い演技でした!!お弁当を頬張る時、口で割りばしをくわえたまま箸を割るところが何かカッコ良かったです!(笑)
理解不能の狂気じみた"愛"が、牙を剥く
「俺たちに明日はないッス」のタッグ、タナダユキ監督と脚本•向井康介氏の作品と聞いたら黙っちゃいられない。
たまたま去年死んだ母の墓参り後に導かれるように鑑賞。
内容はとにかくやさぐれた主人公、永野芽郁が演じるシイノ。俺が初めて永野芽郁をスクリーンで観た時は「俺物語!!」のヒロインの時だったから、そのギャップと怪演っぷりに圧倒された。
あと、窪田正孝がいい味出してた。正直今まで好きじゃなかったけど、こんな渋さを出せる俳優さんだったんですね。すいませんでした。
正直、映画のキモとしては、死んだマリコをどこまで愛すか、なんだと思います。脚本はいい塩梅でそこを重視していた。距離感で一気に違和感を生み出してしまい物語に集中出来ないという懸念は、さすが安定の向井康介氏が払拭してくれた。
しかし愛がお互いに狂気に満ちていた。
牙を剥く狂気具合が湊かなえを彷彿とさせるほど。
理解出来ないほどに依存体質のマリコを庇うシイノは、強がっている性格とは裏腹なお人好し要素が見えていた。
だけど、特別なマリコにしかそれがなかった。
本当の「暴力的な愛」だった。
あと、こっからネタバレ…というか内容はもちろん話さないですが、オチに賛否両論があるかもしれない。俺は「ありがとう」と思ったけど、鑑賞した女性2人組は「あのオチか…」と言っていました。どんなオチかは観て判断すれば良いと思います。
マリコサイドのストーリーも観たいかな。「マイラブリーシィちゃん」。ちゃんとしたジャパニーズホラー映画になりそうだ。
構成完璧でした。最高の映画体験をありがとう。
全67件中、21~40件目を表示