「ロマンシスストーリーの傑作、これぞ見たかった実写化」マイ・ブロークン・マリコ サンリキ/スイさんの映画レビュー(感想・評価)
ロマンシスストーリーの傑作、これぞ見たかった実写化
これぞ見たかった実写化。
原作漫画(web連載)をリアルタイムで追っていた勢です。
当時センセーショナルさと画力の高さで話題になっていました。
実写化が決まった時、登場人物のデザインが再現性が高くしやすいくらいリアルなのと、1巻完結の短期集中連載だったから映画に向いてそうと思う反面、「これ真剣に取り組まないとファンに何してんねんって言われるよね…」と、どうかこの作品に真剣な人たちがメガホンを取ってくれ!と祈るばかりでした。なぜなら「漫画作品の実写化は作り手の真剣さがダイレクトに出る」がセオリーだから…
うまくいけば絶対楽しみリストに加えられるはず!!とハラハラしながら待機しました。
それから公開された予告映像やあまり前情報を入れない派の自分でもちょいちょいうかがうタナダユキ監督の真剣な取り組み姿勢に「これは信頼していいやつかも…!」と安心しました。
マリコの泣きボクロまで取り入れていたのも「行き届いてる…!」と感じていました。
(マリコの両親など特に外見完全再現の必要性が無いキャラもいつつも、それゆえにその分マリコ達の再現度が光る)
あの時の感動がよみがえりました。
かつ、原作漫画を読むと百発百中で泣いてしまうので、緊張していましたが、単行本で書き下ろされていたまだ希望にあふれていたあの頃の二人の姿まで映画の中に入れてくれたので、「この映画は信頼できる!見に来てよかった!」と嬉しい気持ちになりました。
また、忠実な映像化を見た事によって、不思議と以前より原作漫画も平常心で読める気がしました。
そして、漫画の演出を丁寧に再現しつつ、
少し加えられたオリジナルシーンは映像化した時の流れの潤滑油になり、まるで最初からあったようにとても自然でした。
オリジナルシーンだと、例えば痴漢引ったくりに襲われていた女の子がバスの時にシイノに少し会っていたり、観客の目線でもなんとなくマリコに似ていると感じさせられつつ(きっと観客が似てると感じた分だけシイノも感じていたはず)、マリコの可愛い丸文字とこの子の端正で綺麗な字の対比がシイノを日常に戻していく始まりのようにも感じられてなんだか素敵でした。
パンフレットも購入しました。
上映中にこのレビューを読んでるみなさん!!おすすめです!!映画館でしか買えないので是非!!
まず、表紙が原作の平庫ワカ先生の美麗な描きおろし。
そして文の中の情報も濃厚。
印象的な部分のほんの一部を述べてみると、
原作のマリコの丸文字まで完全再現したマリコの手紙はマリコ役の奈緒さん自身が書いたとか、
それから作中ではひたすら酷かったマリコ父役の人は、ドアの向こうのぶつ音は実は自分の体を叩くという体を張った方法で出していたり、それでも衝撃的な場面だから、その分その場にいた子役さんのフォローをしていたり等の、プロフェッショナルな裏話などが書かれていたのが印象的です。(マリコの父親とは大違いだ…)
この映画に関わった全ての方、ありがとうございました。