「生きのばし」マイ・ブロークン・マリコ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
生きのばし
普段はなかなか公開日の朝に映画を観ることは無いんですが、面白いくらい目覚めが良かったので勢いそのままに鑑賞。
85分という短さに負けることなく、簡潔に物語をまとめ、起承転結もしっかりしていた良作でした。
内容をざっくり解釈すると父親に近親相姦、虐待を受けた過去のあるマリコ、そんなマリコがとある日自殺してしまった。そんなマリコの遺骨と共に思い出の地を巡る異色ロードムービーでした。
シイノトモヨのキャラクター像はとにかく荒ぶっていて、真っ直ぐにしか物事を見れない不器用さが漂っていました。そんな彼女が唯一信頼をおける相手・マリコの良く言えばピュア、悪く言えば面倒くさい性格と相反していたり、どことなく近い関係性なのも設定上とても良かったです。永野芽郁さんと奈緒さんの熱演が光っていました。そして両者の中学生時代を演じたお二人もお見事としか言いようがない演技でした。マリコとトモヨをそのまま小さくした感じが滲み出ていて思わずにんまり。
窪田正孝さん演じるマキオの胡散臭いながら実は見返りを求めない優しさがある人が作品に絶妙なスパイスを加えてくれていました。場面ごとに言ってくれる"大丈夫"が嘘くさくなく自然と出てきた言葉として、とても良いワードだなと思いました。終盤まで保ち続けた緩い雰囲気も素晴らしい。
残されたものとしての見方ではなく、生きているものとしてどう生きるか?という問いを投げかけられている感じでした。自殺してしまったその人の分も背負って。という考えではなく、その人に会うために生きるという価値観にとても共感できました。
思っていたほどのインパクトが無かったのは残念でしたが、テンポ良く進む物語はとても良いです。終盤の弁当を食べるシーンは食べるものが映ってないのに美味しそうに見えたのが最高でした。
鑑賞日 9/30
鑑賞時間 9:00〜10:35
座席 L-6