「前提となる(今日の)事情もわからないと理解が混乱するので注意、かな。」チェルノブイリ1986 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
前提となる(今日の)事情もわからないと理解が混乱するので注意、かな。
今年128本目(合計402本目/今月(2022年5月度)5本目)。
タイトル通り、チェルノブイリ原発事故を扱う映画です。年代も映画のタイトル通り1986年と今からだいぶ前です。
ただ、最初に「史実を参考にしていますが、登場人物や結末などはフィクションです」と表示されてしまう、それがものすごく残念かな…というところです。チェルノブイリ原発事故自体は程度の差こそあれ、誰でも知っていることで、また、原発の中の映像というのは(日本もそうですが)治安の関係で一般に公開されないため、映画内でも模作と思われるものが出る一方、ストーリーはここの特集などに書いてある「通りそのもの」であるため、いわゆるアクションシーンもなければ何もなく(事実上、ドキュメンタリー映画に近いテイストだが、書いてある通り「史実を参考にするが主人公や結論などは異なります」と出る)、ただ単にストーリーが進んでおしまい、という部分はどうしても否めません。
これらまで含めると、今週(5/6の週)ではどうしても「マイスモールランド」と、先週以前から引っ張ってきているfreeなどの映画がどうしても優先度が高くなってしまうのは仕方がないのでは…というところです。
また、映画はほぼ全編ロシア語で英語が出る箇所はほぼありません。そのため英語の知識はほぼ活用できないため、字幕に書いてあることはとにかく信じるしかありません(ロシア語検定とか持っているのでない限り)。
なお、ロシア映画というと程度の差はあっても、思想関係(共産主義等)の知識が要求されるかなという印象はありますが、せいぜい「書記長」「同志」といった語しか出ません。
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(減点0.3/字幕の配慮不足) この映画、最近多い「●●4Kリマスター版」といったものとは違い、最近作られた映画のようです。前者の場合、字幕に関しても基本的には当時のままなのですが、この映画はそうではないはずです。
「キエフ」 → 現在は日本自体が(NHKや民放その他)も「キーウ」ですが、字幕内では「キエフ」のままです。ただ、「キエフに行く」などの知識は前提知識がないと「あれ?別の国に行くの?」ということになって混乱します。ウクライナの独立は1991年と、このチェルノブイリ原発事故よりも後だったので、当時はソ連領だったのです。
「看護婦」 → 日本語は漢字圏だし、一時期はこの言い方のほうがむしろ普通だったので、趣旨はわかるのですが、リマスター版でもないこの映画で、なぜに今、日本で使われていない表現なのかは謎です。
(放射線の話をするときに)「レム」 → これがとにかくわかりづらく、文系理系の色々な話題をして混乱させた「たぶん悪魔が」でも登場していますが、こちらはリマスター版ですから字幕の差し替えなども難しくこのままになったのも理解はできます。
しかし、日本では計量法に伴ってSI単位系以外の使用は基本的に禁止されているため、学校教育(科学/物理)でも教わることがなく、趣旨的にそれこそ先週の「ラジエーションハウス」の放射線技師や放射線医の方など(かつ、計量法の施行の1992年まで現役であった方まで)しかわからないです。現在では「シーベルト (Sv)」で置き換えられ、1シーベルト = 100レム になります。
ここもなぜにそんなに「日本の教育事情に配慮しない謎の字幕にしたのか」が本当に謎です(計量法というマニアックな行政法規を知っているということを前提にしたいのか、ある程度想定年齢層を絞りたかったのか(その場合、60歳~になってしまう)、かなり謎です)。
※ 映画・小説など「取引・証明」に関係しないものは、計量法の規制の対象の外なので使用することは妨げられないものの、学校教育で教わらないものを知っていることがないため、現在では「慣用的に特定分野でのみ使用される非SI単位」(海里、匁、ポンド、カロリー等)しか知らない、というのが普通です(大学の理学部まで含めても)。
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