劇場公開日 2022年5月6日

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「ロシア映画だからといって避けて通らぬべし」チェルノブイリ1986 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ロシア映画だからといって避けて通らぬべし

2022年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

興奮

1986年4月のチェルノブイリ原発事故を普通の人々、特に消防士やその周辺人物側からの視点で描く。当初は単なる火災の鎮火として現地に赴いた消防士達が、次々と急性被爆で倒れていき、病院に担ぎ込まれる。その様は地獄絵図に近い、まさに阿鼻叫喚。
さらには、大規模な水蒸気爆発が発生するとヨーロッパ全土が放射能に汚染される危機を防ぐべく、有志達が原発地下に潜っていく様は、1970年代のアメリカのパニックディザスター映画を思わせ、なかなかにスリリング。ロシア映画らしいヒロイック描写はもちろん、蛇足になりがちな恋愛描写は、本作に関してはプラスになっていると思う。

それにしても、その原発があったウクライナがロシアによる軍事侵攻を被ることになると誰が予想できたか。本作プロデューサーのアレクサンデル・ロドニャンスキーと監督・主演のダニーラ・コズロフスキーは、侵攻に反対する声明を発信するも、ロシア政府から過去のロドニャンスキープロデュース作が公開禁止処分を受けたとの事。
原発を所持する日本だからこそ、本作を避けて通るのは浅はかというもの。

regency