「フランス人の表現の豊かさ、さり気ない人生の哲学」ジェーンとシャルロット コバヤシさんの映画レビュー(感想・評価)
フランス人の表現の豊かさ、さり気ない人生の哲学
僕が初めてフランスに行った頃だと思うが、ちょうどセルジュが亡くなった後で、テレビ番組ではセルジュの特集を組んでいた。
人気のある人なんだなぁと漠然と思い、その後ジェーンを知りシャルロットを知った。シャルロットはまだ「小さな泥棒」を撮ったかどうかというくらい。
シャルロットは劇中、セルジュのことを「パパ」と呼んでいるのが気になり、また、気に入った。
この映画は彼女たちの限りなき日常の記録であり、それがゆえに価値がある。
日常ほど、尊いものはない。
もう二度と戻らないのだから。
ジェーン・バーキン。
今でも格好いいし、美しいと思った。
なんて言うのだろう、フランス人特有のしなやかさ。
そして、言葉を選びつつ、表現しようとする点。
フランス人はなんと会話が上手なのだろう。
この映画は会話(対話の方が近いが)で成り立っているが、それが、面白い。
シャルロットの独白もとても良い。
何故に彼らは抽象名詞が好きなのだ?
その辺が非常に哲学的である。
そしてその2人の間にいるセルジュ。
家が観れたのは良かった。なんともセルジュらしい凝った家。
あそこにジタンタバコをふかしながらセルジュがいたんだなぁと感慨深い。
僕はセルジュのレコードを全部レコードで所有しているが、そんなセルジュに対する彼女たちの未だに続く愛情が嬉しかったし、そうだよな、っていう思いで一杯になった。
フランス映画らしい映画。おススメ。
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