「死が二人を分かつまで」ティル・デス 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
死が二人を分かつまで
ストーカーに狙われた過去を持つエマはそのトラウマ事件がきっかけで弁護士のマークと出会い、結婚。
10年が経ち、高圧的な夫に嫌気が差し、夫の部下と不倫を続けていた。
結婚記念日に夫からレイクハウスでバカンスの誘い。サプライズやディナーやネックレスのプレゼント。
部下との不倫を終わらせ、甘い一夜を過ごし、夫とやり直そうとした翌朝。
エマは夫と手錠で繋がれ、さらに夫は目の前で拳銃自殺し…。
シチュエーション・サスペンスは主人公をどんな絶体絶命状況に陥れるかでハラハラ面白さが決まってくる。
手錠で繋がれた夫が死亡し…と言うとスティーヴン・キング原作『ジェラルドのゲーム』を思わせるが、あちらは夫が突然死だったのに対し、こちらは違う。
夫が自殺。弾は一発だけ。
手錠を切れるような役立つものは一つもナシ。
電話は繋がらず、スマホは水没。
車のキーを見つけるも、ガソリンは抜かれ…。
自由になる事も脱出もほぼ不可。
そこへ現れた夫の部下。夫に呼ばれたという。部下曰く、夫は不正で警察にマークされ自暴自棄になっていた。
もう一台車が。同じく夫に呼ばれたパイプ修理屋と言うが、部下は怪しむ。
車にはもう一人男が。降りてきた男を見てエマは絶句する。
かつてのストーカー男。部下を殺し、何か目的があるようで乗り込んでくる。
エマは夫の死体と手錠で繋がれたまま、因縁ある相手から隠れ、逃げ…。
悪い状況や不測の事態が次々に…と思いきや、これ全て夫の企み。
人生とキャリアの危機を迎えたプライドの高い夫。
自分一人だけ死ぬのではなく、死と同じくらい絶体絶命のピンチを裏切った妻に。
死んだ自分から逃げられないよう手錠で繋がせ、トラウマ相手とも鉢合わせる。
とんでもねードS最低夫。
状況的にも精神的にもヒリヒリスリリングさせ、過去やプレゼントしたネックレスなども展開に活かしている。
美貌やセクシーさが売りで、お世辞にも演技が巧いと言い難いミーガン・フォックスだが、キャリアの中ではベスト熱演。
表情の乏しさやびっくりするくらいの体力は元より、絶対崩れないバッチリメイクを世の女性に教えて上げて下さい。
夫やストーカーも下劣だが、エマだって不倫してるし…。
ツッコミ所も多々。雪の窪みに寝そべって隠れただけでやり過ごせるかーい!
実は夫は死んでおらず…くらいの一捻りも欲しかったが、幾ら何でもそれは無理か。
でも、飽きずにそれなりに面白く見れた。
ゲス夫を切り離し、死が二人を分かつまで。
過去のトラウマを乗り越え、絶体絶命から奮戦。
逞しきヒロインの大逆転!…と考えればハッピーエンドなのかも。