「完璧リメイク」生きる LIVING odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
完璧リメイク
クリックして本文を読む
オリジナルなら文句なく星5つでしょう。原作では志村喬さんの熱演とブランコで歌う「命短し恋せよ乙女~♪」のゴンドラの唄のシーンが印象的でしたので英国版ではどんな歌になるのかがとても興味深かったです。最初は英国なのでビートルズの名曲が頭をよぎりましたが流石に年代的に合いませんね、スコットランド民謡の「ナナカマドの木」は企画・脚本のイシグロさんのスコットランド人の奥様が良く歌われていた唄とか。
日々の暮らしに流されがちな現代人、特にお役人ともなればセクショナリズムに翻弄され保身的な仕事ぶりになりがちなのは英国も同様なのでしょう、カンヌでパルムドールを獲った「わたしは、ダニエル・ブレイク(2016)」もお役所の不条理を指摘した社会派ドラマでしたね。後年、松戸市にできた「すぐやる課」も話題になりました。
余命半年と告げられて改めて生きることの意味を問うというシチュエーションの説得力が肝、 原作との違いは、若者にメッセージを託す前向きなところでしょうか。
志村さんに引けを取らないビル・ナイさんの抑えた熱演をはじめ文句のないリメイクですが、やはり原作の良さがあってこそ、あらためて黒澤監督の人間の本質を見抜く慧眼の素晴らしさを再認識した傑作でした。
コメントする