劇場公開日 2023年3月31日

「ザ 純文学映画」生きる LIVING YAS!さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ザ 純文学映画

2023年10月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

黒沢監督の大傑作をノーベル文学賞作家がどう捌くかが観たいので、当然観ました。

「原作を見直さないといけない」と思い、見直すまでレビューを書くのが遅くなりました。

主人公を演じる ビル・ナイさんの演技は素晴らしく、
かすれ声で、聴きずらいが、教科書に出てくるような綺麗な英語を話す事から、主人公の品の高さが良く解かります。
画質が"昔風"で、デジタルマスター映画化と思える程だが、
監督が黒沢監督に敬意をはらっている事以上に、
観ている僕らが、主人公や出演している誰かに視点を合わせるのではなく、
"第三者的"視点で、この映画を魅させる様にせしめている監督の狙いがあると思われます。

この映画は終活の映画ではなく、
映画の言いたいことは最期を迎えた"こと"や小役人である事とは 無関係で、
"何かを成し遂げることの大切さ"そして それこそが、人が生きた証であり、"死ぬほど"幸せ だということ。
だから、成し得てから、次の事があっても 最後に死ななくても やはり この映画は成立しました。
黒沢監督の主人公は、自らの命を、静かに終わらせているが、
本作主人公は "成し遂げた"充実感は"全てを忘れるほどの幸福感"だったという事が、カズオ・イシグロ作品と原作との大きな違いである。
ただ、純文学映画に成っているので、映画的には ジミ である。

この映画を観たら、原作である 黒澤監督作品「生きる」を観ねばならない。

YAS!
YAS!さんのコメント
2023年11月27日

Mさん、コメントありがとうございます。

原作を否定する事なく、カズオ・イシグロさんらしさをだせたのは、素晴らしいと思いました。

YAS!
Mさんのコメント
2023年11月26日

「この映画は終活の映画ではなく・・・」の箇所。まさしくその通りだと思いました。
自分がうまく表現できなかったところをきちんと表現されていました。ありがとうございました。

M