「どうしてもオリジナルと比較してしまうもので」生きる LIVING 野球十兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)
どうしてもオリジナルと比較してしまうもので
本作を観るにあたり、かなり遅まきながらも、オリジナルを鑑賞しました。
結論、それと比較すると、かなり淡泊に感じてしまいました。
志村喬の、くわわっ!と目を見開く、台詞以上に感情を表情で露わにする演技を見てしまった後でしたので。
オリジナルでは、その“動”の演技の反面、しょぼくれきった“静”の雰囲気が秀逸な名作中の名作でした。
そのあたり、英国版は感性の違いか、はたまた、紳士という人物設定か、かなりの淡泊さに物足りなさを覚えたのは事実です。
それはそれで評価される向きがあるのではないかと思いつつも。
また、オリジナルでの小説家崩れとの放蕩も淡泊に感じました。
あの辺りも、自堕落にさえなりきれない情けなさを描いてもよろしかったと思い。
ですが、プロットの面白さまでは、決して失われてはいませんでした。
かなりベタではありますが、死に際の男の生き方を描く様は、国を違えど見どころのあるお話ですので。
それと相対する、お役所仕事のいい加減さの対比もよかったです。
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