「黒澤作品と比べるのは酷だが後味抜群の良作」生きる LIVING エロくそチキン2さんの映画レビュー(感想・評価)
黒澤作品と比べるのは酷だが後味抜群の良作
3/24、試写会にて。
黒澤明監督の1952年作「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロ氏の脚色(㊗️アカデミー賞脚色賞ノミネート)によりリメイク。
舞台が1953年のロンドンに移されたものの、物語はオリジナルに忠実だった。
余命宣告された市役所市民課の課長の絶望と再生の物語。お役所仕事を痛烈に批判するのも黒澤流。
ただしテイストは大きく異なる。
ここにあるブリティッシュ・テイストが好きだった。終始優しい演出が心地良かった。
40代半ばのギラギラした志村喬さんが70歳のビル・ナイに置き換わったことも大きい。死に直面した悲壮感が少なかった。
イシグロ氏の黒澤作品へのリスペクトと母国となったイギリスへの愛情溢れる、そして㊗️アカデミー賞主演男優賞ノミネートのビル・ナイの抑えた名演が光る、後味抜群の良作だった。
ただし黒澤作品にあった強烈なインパクトがなく、小ぢんまりとまとまった感じは否めないかな。
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talismanさんのコメント
2023年4月3日
黒澤版見てなかったので見ました。共によく、イシグロ脚本はすばらしいと思いました。そして黒澤版は役者含めて凄かったです。あと当時の日本の様子、家屋、着物に洋服、戦後から立ち直った享楽的な側面も良かったです。