「アニメーションは圧巻 ストーリーは……うーん……」屋根裏のラジャー 路傍立石さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメーションは圧巻 ストーリーは……うーん……
自由な空想は自在に姿を変えて動き回る
そのことをどんな言葉より雄弁に動きで示すかのようなアニメーションは、一見して理不尽に感じるような変形や動作もダイナミックでありながら繊細に破綻のない説得力を以て示してくれたような気がする
この点で、映画館へ見に行ったのは正解だと思えた
ただ、それにもかかわらず視聴を終えたあとの感覚としては、どこを感情の置き場とすればよいのか、行き場をなくしたような、どうにもすっきりしないものだった
思い返してみると、ストーリーの軸がハッキリしていなかったところにその理由があったような気がする
イマジナリーにとって、消えないことが幸せであるのか、変わらないことが幸せであるのか
大切なのは空想の作り手である人間であるのか、イマジナリー自身なのか
空想の敵は現実であるのか、或いは別の空想が敵になるのか
そういった根幹に関わる部分が曖昧で、「想像してみてね」という作りとして考えてみてもどうも投げやりな印象になってしまう
そうした積み重ねの結果として、壮大な映像美にもかかわらず感動しきれない、という視聴後感になってしまったのかなと思う
せっかく見るなら映像美を余さず楽しめる映画館がいい
けれど手放しでオススメするにはストーリーにどうしても不完全燃焼感が残ってしまう
感情をどこに置いたものかどうにも迷ってしまう
なんとも言えない映画だった
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