「あまり期待していなかったが、、、」屋根裏のラジャー 山田太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
あまり期待していなかったが、、、
外出先で2、3時間の時間をつぶす必要があり、映画でも見ようかな、とスマホで調べると1番近い時間にやってるのがコレだったので、あまり期待もせず見ました。
始まると、冒頭でファンタジックな映像がこれでもかという爆裂的な濃厚さで展開されて、これはとんでもなくすごい映像ではないか?と感心してしまいました。最近のアニメは作画が綺麗なのが多いなとは思っていましたが、この作品はとりわけクオリティが高いんじゃないかと思います。
そのあとは説明的な人間関係のシーンが描かれるんですが、ここがすこし地味で、子ども向けなんだからもっとポップに展開した方がいいんじゃないかと思いましたね。(ここらへんの序盤の説明的なシーンの処理は、ピクサーなんかはギャグ満載でテンポ良しで上手だなと思います)
しかし序盤を抜けると、どんどん加速的に面白くなり最後までずっと楽しめました。
テレビのCMで見たかぎりでは、なんかジブリっぽい感じの明るいファンタジーなのかなぁ、ぐらいの印象でしたが、実際はこの作品けっこう緊張感があって怖さも感じるし、ちょっとハラハラしながら見る感じなんですよね。主人公たちに常に危機がせまっており、このキャラクターの命があぶないのでは?という緊張感があって、それで単なる感動作品にならず、ターミネーターみたいなエンタメ性の強いすごく面白い作品になってます。(実際、物語としてターミネーターに近い部分もあります)
キャラクターが良くて、猫とカバとガイコツの3人のキャラクターがとても魅力的で、物語の良さをかなり底上げしてる印象でした。
そういえば今年のシン仮面ライダーでも十文字隼人というキャラがすごい魅力的で作品の印象を変えるぐらいの良さがありましたね。
中盤ぐらいからは胸にくるシーンが連発されて、とにかく何回も泣いてしまい恥ずかしかったですね。となりのトトロで、お母さんが入院していることの不安感を押し殺し、気丈にお姉ちゃんとして振る舞おうとするサツキのいじらしさに胸がつまりますが、屋根裏のラジャーの主人公たちにも切実な葛藤があり、子供ながらに乗り越えようとする姿に涙が誘われます。なんか脚本家の手のひらで踊らされてる感じで少しくやしいけど、すごい感動してしまいましたね。
お客さんがあんまり入ってないのかレビューも多くはないですが、これはかなりの傑作だと思います。たしかに会話のやりとりに違和感があるところがあったり、ご都合主義的な部分だったり多少アラもあるんですが、おぎなってあまりある魅力に満ちあふれた作品だと思います。
なんというか画面全体から「もうどうなっても良いからこの作品にすべてをこめる!!」みたいな焼けっぱちに感じるぐらいの捨て身のエネルギーを感じるような濃密な映像なんですよね。
アニメーションはここまでやれるぞ!という昔のディズニーアニメを思い起こさせるような、美しくてエネルギーに満ちた絵です。
別に日本のアニメの熱烈なファンというわけでもないし、スタジオポノックのファンというわけでもないんですが、こんな良い作品がもっと多くの人に見てもらえないとほんとにもったいないと思いました。ぜひ映画館で見てみてください。
なんとなくみた映画でしたがとてもいい時間になりました。