「イマジナリーフレンドは子供だけのものなのか」屋根裏のラジャー regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
イマジナリーフレンドは子供だけのものなのか
一人っ子や友達がいなく引きこもりがちな子が生むケースが多いイマジナリーフレンド。西洋では幼少時から部屋が与えられて一人になる環境が整っているので、フレンド形成率(?)は日本よりも高いとか。ぬいぐるみ相手に遊ぶのも要はイマジナリーフレンドなので、テディベアに魂が宿ってしまったコメディ『テッド』は一番分かりやすいイマジナリーフレンド映画だろうし、『となりのトトロ』も実はイマジナリーフレンドの要素を持っている。
そんな、子供の時は欠かせない存在だったイマジナリーフレンドも、成長するにつれいなくなってしまう。本作はそのフレンドのラジャーにスポットを当て、主人公の少女アマンダの成長を描く…のだが、その実のテーマは「大人になったらイマジナリーフレンドは不要なのか」にあると思う。何もそれは現実逃避しろという事ではなく、大人になっても童心を持ち続けてイマジナリーフレンドと共存するのも悪い事ではないというメッセージだ。そもそも『テッド』もそんなお話だったし、極論を言えばサンタクロースだって年に一度訪れるイマジナリーフレンドみたいなもの。『メアリと魔女の花』はジブリアニメへのアンサーフィルムになっていたが、本作は子供向けの皮を被りながらその実は大人に向けているピクサーアニメへのそれを感じた。人物皆西洋人なのに、使用文字が日本語という多国籍感はディズニーアニメっぽかったが。
壮大な世界観のように見えるも要は想像上の出来事なので、ストーリーが矮小化している感は否めないし、クライマックスでのあのキャラの心の変容(?)ぶりが唐突過ぎたのも気になった。『メアリと魔女の花』が良すぎた為に期待値高めで観たのがいけなかったのか。でも映像はキレイだし、イマジナリーフレンドがいない子を持つ親は一緒に観ながら説明してあげるといいかも。
タレント吹替に関しては、ラジャーを寺田心が演じるという情報しか入れずに観たのが奏功したか、違和感はそんなに感じず。山田孝之が声優っぽい発声だったのが印象的。安藤サクラは『ゴジラ−1.0』といい東宝づいてるね。