「オマージュに溢れたSF映画の秀作。」バズ・ライトイヤー ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
オマージュに溢れたSF映画の秀作。
トイストーリーのスピンオフだからと舐めてる人。SFファンの人にこそ見てほしい1作。
開始20分。
展開のテンポの良さにまず驚かされる。
無駄なく整理された脚本は非常に素晴らしく、序盤だけで映画「インターステラー」一本見終わったくらいの満足感が得られた。
これほど完成度の高い導入はピクサーでも稀有。
没入感は非常に強い。
この掴み抜群のプロローグを経ての映画本編。
なんて豪華な映画なんだろうか。
そこから始まるオマージュ描写の連続も実に多幸感に溢れていた。
スターウォーズはもちろん、エイリアン、スターシップトゥルーパーズ、2001年宇宙の旅、トップをねらえ!、メガゾーン23。
そして、機動戦士ガンダム。
元ネタを上げたらキリがない。
肝心のストーリーも、SFらしい実存主義的なテーマが内包されており深いものだった。ネタバレを避ける為多くは語らないが、ウラシマ効果を扱ったSFとして非常に良く出来ている。まさかザーグの正体が"彼"だったとは。
メカニック描写もどこか特撮感のあるものに仕上がっており非の打ち所がない。それでいて原点である「トイストーリー」への目配せも忘れない。
特にエンドクレジット間際の演出は完璧だ!
あえてネガティブポイントをあげるならば、それは一本の映画として「あまりにも完成度が高すぎる」点かもしれない。
トイストーリーのスピンオフという範疇には収まらないほど、作品としての出来がいい。
加えてビジュアルもレベルが高いので、"90年代半ばに放映された映画"というメタ設定と矛盾が生じる気はする。これがおもちゃのバズのルーツと言われても「?」とならざるを得ない。
とはいえ、一本の映画としては非常に満足度が高く、大人でも十分満足できる作品と言える。トイストーリー本編を見ていなくても、いちSF映画としてオススメできる秀作だ。