「デコボコな仲間と乗り越えた「危機」。」バズ・ライトイヤー ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
デコボコな仲間と乗り越えた「危機」。
おもちゃのバズは、最初自分がおもちゃだという自覚がなかった。こうして本物のバズ・ライトイヤーに会えるのは感慨深い。トイストーリーの世界とつながり、「無限の彼方へ」という声が聞こえてきそうである。しかしこの「バズ・ライトイヤー」が、アンディ少年が夢中になった映画だというのは、少し無理があるように感じる。いいおとなから見てもテーマが伝わりにくいし、こどもが喜ぶ見終わった時の爽快感みたいなものが乏しい。おそらくこれは、よくあるテレビドラマの劇場版というイメージではないか。テレビドラマのファンであれば、内容はどうあれバズが活躍するだけで楽しいだろう。
内容的には、とても大人向けの映画のように思える。テーマは「使命感」と「孤独感」みたいなものだろうか。「使命感」はスペース・レンジャーという任務上相当なものがあるが、「孤独感」も相当なものではないか。自分のミスで多くの仲間を窮地に陥らせた負い目は大きい。そして、「ハイパー航行」で飛行船と地上との間に時間の進行のズレが生じて、仲間がどんどん年老いて亡くなっていく。しかも自分の事はほとんど忘れられ、地球に帰るという思いもうすくなっていた。自分は何のために自分の時間を犠牲にしてきたのか分からず大きな孤独感を味わったことと思う。
しかし、その孤独感を十分埋め合わせるものがここにはある。それが、まずバズの良き友人であり理解者のアリョーシャであり、癒し相手であり相棒でもあるソックスである。そして、次に物語の後半でアリョーシャの孫娘イジ―他2名といっしょに敵と戦うことになるが、ここが映画の中では一番重要な所だと思う。見習いとはぐれものという本来あまりあてにできない者達と力を合わせて危機を脱出したという体験が重要である。バズもこの体験により多くを学んだと思われる。それが、トイストーリーの「仲間を最後まで見捨てない」という重要なテーマにつながっていると思わせてくれる作品でした。