劇場公開日 2022年7月1日

「映像はピクサー作品らしく出来は良い。一方で脚本にピクサー作品らしさが足りない?」バズ・ライトイヤー 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映像はピクサー作品らしく出来は良い。一方で脚本にピクサー作品らしさが足りない?

2022年7月1日
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本作では冒頭に以下のような説明が字幕で出ます。
【「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーはアンディ少年のお気に入りのおもちゃで、彼の人生を変えるほどになった大好きな映画の主人公。その映画こそ、この「バズ・ライトイヤー」です。】

つまり、本作は、アンディが子供の時に見ていた映画、という設定です。
私は、この設定自体はアリだと思います。
ただ、それであれば、「子供が理解できるものになっているのか?」ということが最大の命題になるのでしょう。
そう考えると、本作では「インターステラー」(クリストファー・ノーラン監督作)のような相対性理論による「超高速で動くと(周囲と比べ)時間の進み方が遅くなり寿命が長くなる」という概念を理解することが重要になります。ただ、これをちびっ子のアンディに理解させるのは無理があるのでは、と疑問を持ちました。
また、「トイ・ストーリー」の登場は1995年なので、この映画は、1990年くらいには出来ていた作品ということなのでしょう。
私は、同性婚等には全く否定的ではないのですが、本作でそれを意図的に入れる理由が分かりませんでした。むしろ、未来の映画という設定であれば子供らのシーンも違和感を覚えなかった気がします。
このように本作は、「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーの原作、という設定に縛られ、方向感を見失っているように感じました。
ピクサー作品は脚本こそが生命線で、そのためのブレインストーミングが素晴らしく、不満の出ない脚本を生み出し続けていたはずでした。
ただ、本作は、上記の設定に加え、物語自体に「新しさ」を感じにくく「既視感」ばかりが目につきました。
しかも、ギャグシーンも機能していない様に感じてしまいました。
とは言え、映像表現はピクサー作品なので最高峰であるのは間違いないでしょう。
ザーグのおもちゃはありソックスがないのも不思議な気がするほどソックスは良かったです。
私は「トイ・ストーリー」シリーズ、そして何よりピクサー作品が好きなので今後に期待したいです。
なお、本作のエンドロール後に映像があるので最後まで席を立たないようにしましょう。

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細野真宏