「期待通り!!」ホリック xxxHOLiC alphaさんの映画レビュー(感想・評価)
期待通り!!
CLAMPの人気漫画ホリックの実写版。監督は、話題作を産み出してきた写真家の蜷川実花。
端から期待などしていなかったが、CLAMPは好きなので観賞。結果、期待値相応の出来映えで自分の目に狂いはないな、と感心。
ストーリーはアヤカシが見える主人公四月一日(ワタヌキ)が、対価によってどんな願いも叶えるお店の店主侑子と出会い、生き方を見つける話。
基本的に原作からの要素を集めてコネコネして水に溶いた薄味。はっきり言って中身がなくアニメで一話分くらいの中身。
冒頭から全然引き込まれないストーリーテリングでつまらなくないところがない。
演出・編集は、はっきり言って下の下。やたらと大仰な身振り手振り、シーンが大きく転換しても流れ続ける同じ曲調のBGM、カットの繋ぎ目を略し過ぎて瞬間移動する登場人物、百目鬼初登場時の無理した低音ボイス、など上げだしたらきりがない。もう少し、どういう演出をしたら嫌な違和感がなくなるのか勉強すべき。映像の文法が理解できていない素人作品に見える。
侑子役の柴咲コウの演技は悪くはないが、いささか優しすぎるきらいがある。明言はされてないが、侑子が四月一日の母親というオリジナル設定のせいで、微妙に原作から解離して行き、違和感とコレジャナイ感が漂う。
神木や玉城の高校生役はそろそろ厳しく、他のDAOKOなども、演出と相まって、ただのコスプレイヤーが演技してる感じで不愉快。
原作の雰囲気と蜷川の写真の作風の親和性が高いことだけが、この映画唯一の秀でた点。ただ、これなら写真集で十分。映画にして長時間下らない話をたれ流す意味は皆無。
総じて、脚本も演出も演技も及第点を大きく下回っており映画としての体を成していない。
蜷川実花は美術監督で、携わるぐらいが今の実力に見合うのではないだろうか。