「いい映画だと思うから星4つにするけれど面白味はない」コーダ あいのうた つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
いい映画だと思うから星4つにするけれど面白味はない
巷の評判はいいし、まあいい映画だとは思うけれど全く面白味のない作品だった。
二度の歌うシーンの演出が、あまりにもあざといとしてもなかなか良かったので、ギリギリ星4つにするけれど、単純に楽しめたかといえば星は2つでもいいくらい。
号泣とかいう言葉を事前に耳にしていたが、割とすぐに泣いてしまうタイプの自分でも号泣どころか涙の一滴も流れなかった。なんていうか、特にどのキャラクターも大して悩んだりしてないんだよね。秘められた想いとか変化がほとんどない。
ろう者の物語という意味ではなくて、この手の物語の場合、主人公が羽ばたく前に抱えた羽ばたけない悩みがあるものだが、基本的にそれがない。彼女は最初から羽ばたきたいと願っているのだ。
彼女の枷になるのが家族だという意味では斬新と言えなくもないが、家族間の溝が映画にするにはちょっと浅すぎる。
要は、この家族は最初から愛のあるいい家族で、漁についてうまくいかないことはあっても家族内にトラブルがほとんどない。それで最後に感動しろと言われてもちょっと無理。そんなんで泣けるなら街で家族連れを見かけるたびに泣くことになる。
娘に歌の才能があることを家族が直接理解出来ないこと、彼女が大学に行きたがっていることを後押しするのが兄貴で、母親はどちらかといえば反対する側だというところに目新しさは感じた。
娘が主人公の場合、大概は母親が理解者ポジションだからね。
本当に良かったのはここくらい。
コメントする