「ルビーはもう少し喋れなくても良かった」コーダ あいのうた たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ルビーはもう少し喋れなくても良かった
傑作である。「あいのうた」と余計な邦題サブタイトルを付けることでもしこの映画を回避する人がいたら残念。「感動作」というちょっと恥ずかしい惹句があるがこの映画はそう評しても良い稀有な作品。ディズニーのように見せかけてGAGAだしストレートで過不足なく明るくコミカルで青春で愛すべき兄母父そして歌えて可愛らしく手話も上手なエミリア・ジョーンズが素晴らしい。私は若いころに聾者を取材してビデオを制作したことがあり少しは理解しているつもりであったが聾者の家族が案外にうるさいこと、ヒップホップ低音量Maxで車に乗っているシーンなどは目からうろこでクライマックスのクワイエット・プレイスより音の無いあのシーンは予測していたもののもう泣けてしょうがなかった。彼女の所属するクラブがクワイアーでゴスペルっぽい選曲が多いのが良くて音楽の先生がまた良い。裏腹ではあるが明るく前向きハッピーすぎて悲惨残酷があまりになさすぎるが、下ネタの連発といい監督は全力で暗い方向へ行くことを拒んでいるのであろう。ただルビーは家族全員聾者の中で育ってもうちょっと喋れなかったり発音がおかしくても良かったかとは思う。
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