「「笑って泣ける感動作」に終わらない意義」コーダ あいのうた まめもやしさんの映画レビュー(感想・評価)
「笑って泣ける感動作」に終わらない意義
素晴らしい映画と出会った。“誰もが笑って泣ける感動作”なのは間違いないが、障がい者を扱ったエンタメに終わらせず、壁を感じさせない分断をさける作り手の想いが届いた傑作。それがリメイク元の『エール!』と決定的に違う点でもあり、監督自身が手話を習得し、耳が聞こえない役を当事者にキャスティングしたことの意義を大いに感じる。「手話は数ある言語のひとつとして当たり前に存在している」とハッと気づかせてもらった。ルビーが家族と心を交わす過程が、主演のエミリア・ジョーンズが、耳の聞こえないキャストと関係性を築く過程にそのまま生きている。だからこそ当事者が当事者の役を演技することの重要性をまじまじと感じた。雇用機会の不平等があってはならないと、監督のシアン・ヘダーが身を持って証明してくれた。この映画が正当な評価と多くの人に届いてくれることを望まずにはいられない。
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