劇場公開日 2024年3月15日

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「前作同様、原作に忠実かつ壮大なスケール感」デューン 砂の惑星 PART2 悶さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 前作同様、原作に忠実かつ壮大なスケール感

2025年8月29日
PCから投稿

【鑑賞のきっかけ】
PERT1から3年後に公開された本作品は、アカデミー・資格効果賞を受賞するなど、好評でしたが、劇場公開では未見でした。
今回、動画配信で、遅ればせながら、鑑賞してみることとしました。

【率直な感想】
PERT1については、劇場鑑賞をしており、鑑賞直後に綴ったレビューがあります。
その前半部分は、本作品の感想を述べるにあたっても、重要な内容なので、以下に引用します。
一一一一
原作小説は、複雑で難解とされ、さらに、長さも、シリーズ第1作だけでも文庫本で1冊あたり、400ページ超で、全3巻と、ちょっと敷居の高いものとなっています。
私も、若い頃は、何となく敬遠してしまい、実際に読んだのは、社会人になってからでした。
80年代に、デヴィッド・リンチ監督により、超大作として映画化されているのですが、評価は今ひとつのようですね。

<原作に忠実に完全映画化>
率直な感想としては、まず、原作に忠実。しかも、原作小説を読んでいる自分としては違和感なく、作品世界に溶け込むことができました。
「完全映画化」という賞賛の言葉がありますが、本作品は、私の考える「完全映画化」と言えると考えています。

<なぜ、完全映画化なのか?>
映画は、例え原作小説があっても、原作者とは別の人間が映像表現し、制作するもの。
ある意味では、別作品と呼べるものです。
しかし、本作品のように、世界的なSFの傑作というふうになってしまうと、制作者側はどうしても原作小説の読者を意識してしまうことでしょう。

本作品の原作小説がなぜ難解と呼ばれているかというと、体裁は、宇宙を舞台とした活劇で、確かにその要素はあるのですが、実際に読んでみるとこれに加え、政治、宗教、文明、神話、歴史、生態系、精神論などの諸要素が詰め込まれているからです。
単に活劇描写を楽しもうとすると、3冊を読むことを難しく感じる方がいらっしゃってもおかしくありません。

私が感心したのは、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督は、そうした難解になりそうな要素はさらりと流して、誰でも理解できるようなシンプルなストーリーにしていることでした。
監督の作風からすると、ちょっと意外でしたが、ここは、小説と映画の違いをきちんと理解していると感じました。
一一一一
ちょっと長い引用でしたが、文中で述べている<原作に忠実に完全映画化>という言葉は、本作品にもぴったり当てはまります。
しかも、難解な小説とは違い、映像表現らしく、難解になりそうな要素はさらりと流して、シンプルなストーリーにして、小説版を知らない方でも、しっかり楽しめるように作りこんでいるところも、前作と同じです。
そして、小説では味わうことのできない、砂塵の舞う広大な大地を、スケール感のある映像で表現しているところは、前作に続き、本作が評価されている大きな要因と思われます。
ただ、ストーリーに関しては、原作が1960年代に書かれたものなので、現代のスピード感溢れるSF作品に慣れ親しんでいる方にとっては、スローテンポに感じてしまうかもしれません。
また、剣術を使った対戦シーンは、スター・ウォーズシリーズのライトセイバーを使った戦いからすると地味な感じは否めません。
しかし、そこは、原作に忠実であるゆえの宿命でしょうか。

【全体評価】
前作同様、原作に忠実でありながら、現代の技術を駆使して、壮大なスケール感を持った映像作品に仕上げている点は、高く評価されると感じています。

悶
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