「宿命と権力」デューン 砂の惑星 PART2 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
宿命と権力
2024年。ドゥニ・ビルヌーブ監督。SF大作の第二弾。突然の襲撃による一族絶滅の危機から、母とともに逃げ出した青年は、砂漠の民に迎えられ、次第に彼らのなかに伝わる「救世主」に擬せられていく。香辛料の独占を狙って惑星支配をたくらむ宿敵に対してともに戦ううちに、不思議な力によって、過去の因縁や未来のビジョンが見えるようになり、自らの宿命を受け入れて宿敵の背後にいる皇帝権力の簒奪まで目指すようになって、、、という話。
香辛料の争奪や砂漠の民の救世主思想などは現実の世界政治の力学を踏まえているようにもみえる。血縁によって大いなる力に目覚めることで、恋人との現実の関係を諦めて治者たらんとするところなどわかりやすい貴種流離譚でもある。つまり、現実的でありつつ神話的である。決闘から大規模な戦闘まで、地中の巨大なワームを乗りこなすことも含めたアクションも満載。
監督独自の「宇宙の音」ともいうべき重厚な音楽と、巨大な軍事的な乗り物の静かさや動きの遅さが、壮大で運命的な物語を盛り上げている。
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