「本当に大切なことを語らない美学」ゴヤの名画と優しい泥棒 のむさんさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に大切なことを語らない美学
夫婦の間にあるすれ違いや葛藤が、画面の絵からにじみ出てくる演出が心地よかった。主人公ののキャラクターやセリフ劇で楽しませる工夫を忘れずに、でも大切なことはセリフでは語らせない。上品な映画でした。
個人的には、主人公家族のアパートメントのある交差点から、遠くの工場の煙突が見える画面がとても印象的でした。工業化が進む町と、取り残されていく老人が対比的に描かれているように感じました。劇中にある、「この絵にそれだけの金額を払うくらいなら、福祉に回せ」というメッセージが一目で表された構図ではないでしょうか。
「あなたは私であり、私はあなたである。」現代社会に語られるべき言葉だと思います。
次男のキャラクターがあまり深く描かれず、長男の掘り下げももう少し欲しかったなと思ったので、-1.0させていただきました。
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