劇場公開日 2021年12月17日

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「ヴィスコンティの仕打ちなど、詳細な描写は抑制しているので、事態の醜悪性がやや緩和された感のある一作」世界で一番美しい少年 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ヴィスコンティの仕打ちなど、詳細な描写は抑制しているので、事態の醜悪性がやや緩和された感のある一作

2025年5月10日
PCから投稿

『ミッドサマー』(2019)で突如スクリーンに復活し、一部の映画ファンを大いに驚かせたビョルン・アンドレセン。かつて「世界で一番美しい少年」と世界中のファンが称え、来日したこともある彼に一体何が起きたのか…当時の映像や関係者の証言、そして現在のアンドレセンの映像を交えつつ描いていきます。とはいっても真相追及型のドキュメンタリーという要素はそこまで強くはなく、どちらかというと華々しいスクリーンデビューの後、いくつかの経験を通じて心身共に疲弊しきった彼が、(『ミッドサマー』で彼がしたように)かつての自分の幻像に決着を付け、そして改めて年齢を重ねた自分として生き直す、という静かな宣言のような内容でした。

『ミッドサマー』公開後、彼にまつわる事実や噂が飛び交いましたが、本作ではあえてそれらについてあまり深入りしていません。特に、最も彼に重大な影響を与えたであろう、ルキノ・ヴィスコンティ監督の仕打ちについて、言及すればいくらでもスキャンダラスな作品にできたであろうところですが、それを抑制したところにアンドレセンへの気遣いを感じました。

とはいえ、本作のいくつかのショットを通じて、彼が被ったおぞましい体験は想像ができてしまうのですが。

yui
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