劇場公開日 2022年9月30日

「理屈っぽさと滑稽な人間模様が混ざり合う新しさの形」四畳半タイムマシンブルース たいよーさん。さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0理屈っぽさと滑稽な人間模様が混ざり合う新しさの形

2022年10月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

萌える

理屈っぽいのに筋が立っていて、滑稽なのに計算高い。それが伏線となって圧巻のクライマックスへと向かっていく。会話のくだらなさと真剣な危機感が面白く、野暮な語り口にホロリと涙を流すのであった。

『夜は短し歩けよ乙女』の組み合わせが双方の畑で帰ってくる。上田誠氏の脚本によって悪魔的融合を遂げて…。なお、私は原作も関連作も未見である。それでいて語るのをお門違いというのであれば、いくらでも言われよう。笑

内容は至ってシンプル、なはずだった。コーラによってダメになったリモコンを、たまたま有ったタイムマシンで取りに行って戻してくれば良いのだ。簡単じゃん…と思っていたら、宇宙が無くなる気がして戦慄する。良くあるタイムリープモノかもしれないが、ここまで世界を遵守しようとする人たちも大変珍しい。1つもズレてはいけない…!という葛藤と、振り回してくる周りの奴らにアタフタ。野暮で長ったるい台詞は小刻みに読まれることでテンポを加速させ、その大胆な描写たちの元で華やかに彩られる。

同時に、サマータイムマシンブルースの要素であろうものも落とし込まれ、四畳半に汗と奇跡と伏線が入り乱れる。なかなか凄いことになってから、時間を忘れて没入してしまった。だって、面白いんだもん。笑

偶然なのか必然なのか、駐輪場で抜いた鍵を置いてきた。仮にタイムマシンで戻ったとしても…。そこまで考えさせてくるとは。後味が良くてつい、ホロッと来てしまったではないか…。

たいよーさん。