劇場公開日 2022年9月17日

  • 予告編を見る

「運動を創造するセンスが際立っている」たまご割れすぎ問題 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0運動を創造するセンスが際立っている

2022年10月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

昨年、特別上映をやっていた時にチケット取ったのに仕事で行けなくなってしまったチャーリー・バワーズの映画が封切上映となって本当に嬉しい。サイレント映画時代に活躍した「知られざるアニメーション作家・コメディ監督」だそうで、僕も観たのは今回が初めて。サイレント映画はトーキー時代よりも動きが自由だ。カメラの回転数を自在に変えてユニークな運動を作りだせる。チャーリー・バワーズはそうした実写の自由な運動にストップモーションを違和感なく混ぜ合わせて、独創的な空間を生み出している。卵からちっちゃい自動車が孵化するのが結構かわいくもグロテスクな感じ。割れにくい卵製造マシンの造形が大袈裟なのも面白い。機械文明に対するまなざしはチャップリンと対照的と言えるかも。
短編集をまとめての上映だったのだが、この作品以外も大変に目を引く作品ばかりで、映画史ってまだまだ埋もれているものがいっぱいあるんだなと改めて思い知らされた。

杉本穂高