劇場公開日 2025年8月30日

「思い通りにいかない運命への人間の弱さ、屈折した意地悪さの物語」ワザリング・ハイツ 嵐が丘 sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 思い通りにいかない運命への人間の弱さ、屈折した意地悪さの物語

2025年9月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

嵐が丘のビジュアルに目を見張る。ワイラー監督のモノクロ版と比較すると、やはりカラー映像は強い。大概はどんよりして雲が垂れ込め、時に雨や雪景色に。まさに荒涼という形容詞がピッタリの土地。

でも二人が初めて馬で相乗りするシーンは少し違った。珍しく淡い陽光が差す中、風が吹き、草木を揺らす音。幸せに満ちた時間。キャシーの髪が微かにそよぎ、ヒースクリフの頬にふれる。自制したヒースクリフは、もどかしくて思わず馬の肌を撫でてしまう。この描写は本作のベストショット。

このイメージが後半に繋がる。結局死後にしか抱擁し口づけ出来なかった喪失感が、ヒースクリフの怒りと狂気じみた暴力を引き起こす。

それでも子犬の絞首刑はさすがにいただけない。

キャシー役のカヤ・スコデラーリオの登場シーンでは、その美しさにハッとさせられたが、少女時代の「野生児」が成長した美しさとは少し違うと感じてしまった。

sugar bread