「キレイは汚い、汚いはキレイ」マクベス 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
キレイは汚い、汚いはキレイ
全編、格言のような言葉遊びのような、聞くものを惑わす言葉を留めなく浴びせていくるシェイクスピア劇。野外劇のようなシンプルさで進行し、テンポよく物事が展開していく。大まかなあらすじを知っていても、ついつい言葉の意味を解釈しようとしてしまい、ややもすると物語に置いていかれてしまう。むしろ、すじを知っているのだから、モノクロの映像美や所作や言葉のリズムを楽しむっていうのもいいのかもしれない。そう、歴史が苦手が人が講談を聞くようなスタンスで。
そして、一番耳に残った有名な言葉にとらわれる。キレイと汚いの意味するものは何か。誰にとってキレイなのか、汚いなのか。自分にはキレイでも、他人には汚いのか。それは物か、心か。はたまた、魔女に踊らされる人間の、純真さ(けして褒めてはいない)と浅ましさ(けして憎んではいない)か。
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