「ラストまで明かされない任務」モスル あるSWAT部隊の戦い shironさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストまで明かされない任務
アベンジャーズの監督が!…という謳い文句だったので、てっきり悪をやっつけるSWAT部隊の活躍が描かれる、エンタメ寄りのアクション映画のイメージでしたが、
実際にはドキュメンタリータッチの緊張感と息苦しさに包まれる映画でした。(ルッソ兄弟はプロデュース^_^;)
よくわからない状況に、どんどん精神がすり減っていき、とにかく早く終わってほしかった。。。
最後の最後に任務の内容が明かされるのですが、“戦争の大義”についても考えさせられる映画でした。
序盤から何を信じたら良いのかわからない。
「本当は嘘なのでは?」と思い出すとキリがなく、SWAT部隊そのものも怪しさ満載。
傷心のなか、なかば強引なスカウトでSWAT部隊に入る主人公ですが、任務の内容をずっと教えてもらえないまま物語が進んでいきます。
ともするとSWAT部隊がただの復讐集団に見えてくる。
実際に家族を殺された警官たちで構成されているし。
行く先々での突発的な戦いはともかく、あきらかに個人的な思いで人助けをしてみたり…任務遂行が第一優先ではない印象がつきまとい、味方からも追われる立場であることが徐々にわかってくる。
仲間の死や裏切りを経験して、戦う覚悟を決めた主人公にとって、もはや任務の内容は関係なく、ただ復讐のスパイラルにハマっていく気がしました。
一瞬も気が抜けないストレスが続くので、ラストの解放感が沁みますが
それでも、仲間との絆は絶対なのね。
「国家や民族の為」「愛する家族を守る為」などの大義名分を掲げた人殺しと、個人的な復讐の人殺しとでは、どちらが罪深いのだろう。
(どっちも人殺しはダメですが)
そんな、戦いの不毛さを感じる映画でした。
脚本家として活躍なさっている監督だけあって、ちょっとした伏線の回収も見事でした。(←習性が悲しい)
かせさん、コメントありがとうございます!
なるほど。確かにそうですね。
クライマックスのライティングも印象的で感動したのを思い出しました。
そして、彼らの任務は続いていくのですね。
任務の詳細を聞く事を一度は拒んだ主人公が、ラストに彼らの先頭に立って言葉を発する場面を見ると、復讐の連鎖よりも本来のSWAT、警官の立場を初めて理解して行動したのだとも解釈できます。
だから、この作品はただのアクション映画以上の存在になれたのだと。