「人の闇を真っ直ぐに。」ナイトメア・アリー image_taroさんの映画レビュー(感想・評価)
人の闇を真っ直ぐに。
「デビルズ・バックボーン」「パンズ・ラビリンス」「クリムゾン・ピーク」「シェイプ・オブ・ウォーター」などなど…ホラー、ファンタジー、SFの形を借りながらでも、人間こそが最も恐ろしいことを描いてきたデル・トロが、それらの形を借りずに人間ドラマの方で真っ直ぐにその恐ろしさを描いてみせた。ノワール的な作品としては、カーティス・ハンソンによる「L.A.コンフィデンシャル」以来かと思われるようなハイクオリティな映像的な肌理をもった作品となっている。幻惑的な映像にひたすら酔いしれながら、同時に深淵を覗き込むような恐ろしさに震える。
しかしながら、やはりデル・トロの人間描写は非リアルなものとの対比のなかでこそ、もっとも冴えるような気もしてしまったのが正直なところ。こういうのも悪くはないけど、デル・トロの表現の真骨頂は他にあるような気がします。
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