「ダークサイドグレイテストショーマン。」ナイトメア・アリー 侍味さんの映画レビュー(感想・評価)
ダークサイドグレイテストショーマン。
This is me!
と主人公が叫んで終わる。
完全にダークサイドなグレイテストショーマン。
一回幸せを掴んだはずに見えたものの、そこから悪夢小路に迷い込み、一気に転げ落ちる。
幸薄そうなルーニーマーラに胡散臭いロンパールマン、悪意の塊のウィリアムデフォーと胡散臭い詐欺占い師夫婦。
そして獣人。
地獄一歩手前の様なカーニバルを抜け出し掴んだはずの煌びやかな世界で彼はその先を望もうとして頂上一歩手前から一気に崩れ落ちる。
あらかた想像の範疇を超えないストーリーで進み、伏線は丁寧に回収されていく。
デルトロのかつてのクリムゾンピークの様にオチでひっくり返る事もなく、すんなりと進む。
ただ、尺の関係か150分とも言えど描き切れていない部分も多く、判事夫妻の無理心中も唐突だし、ケイトブランシェットの意図も不明瞭だし、カーニバルを出てからの脚本のアラが多い気がする。
父親との確執も描き方が浅い。
原作はもっと丁寧だったのだろうか?
ここから個人的な意見。
僕も催眠術と読心術を使える人だが、劇中であった様に相手をプロファイリングしてそこから自分の頭のデータベースと照合して当てる事をしており、幾つかはペテンであるとも自覚している。
映画の中で主人公がより成功を求めて困難な相手に挑みたくなるのも分かる。
かからないと言われたら相手を分析してでもかけたくなる。
あれは一つの支配欲みたいなもので、本人だけの自己満足のための欲を満たす行為でしか無い。
だからこそ、周りに止められても前に進んだ気持ちもわかるし、焦りから仕上がりが荒い状態でゴリ押しでやってしまった仕事のアラから一気に崩壊する無念さも分かる。
自分の人生に重なった気がしてこの映画の感想は湾曲されたものだと自覚はしているが、久しぶりのデルトロの世界観に浸れる150分は幸せだった。
p.s. 元SMパートナーにまたTwitterで個人情報晒されました。ガッデム。