「自分はこんなもんじゃない!」ナイトメア・アリー ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
自分はこんなもんじゃない!
——第二次大戦の少し前の不穏な時代——
当てもなくたどり着いた”カーニバル”一座で働くことになったスタン。自分の才覚に気付くと、恋仲になったモリ―と共に一座を抜け、もっと上客を相手に商売しようと試みるが・・・
妖しさ(怪しさ)満点の見世物興行。獣人(という触れ込みの人間)は「自分はこんなんじゃない」と訴える。「私にはここがお似合い」と言うモリ―。「君も僕もここには似合わない」と返すスタン。獣人の嘆きはスタンがずっと抱えてきた心の内の声でしょう。
本作を観て思ったのは、”因果応報”、”おのれをわきまえろ”、”人の忠告を聞け”です。
人は一度境界線を越えると歯止めが利かなくなって、戻れなくなるのでしょうか?
いえ、引き返すチャンスは何度もありました。
でも、つまらない欲や意地やプライドが、立ち止まって考える事をさせませんでした。
本作は説教臭いわけではなく、ダークなサスペンスです。面白いと言えます。監督の好みであろう不気味な映像美は細部まで作り込まれています。
ただ、私にはちょっと気持ちが悪い映画でした。
私は、例えば金魚や犬を、生存にはあまり向かない形態の新種を作ってまで愛でる、という感覚が理解できません。本作にそういうものを感じました。(それ自体は公に認められていて、悪い事ではないですが)
あと、一座には白人しか居なかったようなのは違和感でした。「グレイテストショーマン」では黒人も一緒に働いていましたが。
「獣人」が「フツーの落ちぶれた人」だったのはいかにも人権無視でイタカッタです。「エレファントマン」のような止むを得ない奇形の方も人権問題で気の毒ですけれども・・・。見せ物小屋はおっしゃるとおり「気持ち悪い」ですね。当然おっしゃる不気味ですねぇ。でも「その後味の悪さ、気色悪さ」がこの稼業のツボですねぇ。おっしゃる感覚。激しく同意です。昭和時代の祭りの「ニワトリを食う蛇女」・・兄貴とチビガキ2人で観ましたが、小さな子供には、衝撃的な気持ち悪さで、なんで、少ない小遣い払って見たのか?今でも不思議です。でも経験値としては良かったかも・・です。イイねありがとうございました😭😊。
ゆり。さん、コメントありがとうございます。
酒の件は推測に過ぎませんが、虐待よりも強制労働的なものだったかもしれません。何しろ荒野の一軒家。親の面倒を見なければならない辛さ・・・そんなところでしょうか。
たしかに『グレーテストショーマン』も思い出しました!