「終末恋戦士伝 無戒殺風の拳」KAPPEI カッペイ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
終末恋戦士伝 無戒殺風の拳
199X年、世界は核の炎に包まれた!…筈だった。
海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように思えた!…筈だった。
だが、人類は死滅していなかった!
2022年、人類はのほほ~んと平和に生きていた!
原作のギャグ漫画があるらしいが、未読。
知らぬ者としては、これは、あの“世紀末救世主伝”のパロディ。
来る週末…じゃなくて、終末に備え、人類を守り世界を救うべく、厳しい修行を重ねてきた救世主たち。
究極の殺人拳法“無戒殺風拳”を継承した“終末の戦士”。
だが2022年になっても終末は訪れず、解散。
流れ着いた大都会・東京で、獅闘流の使い手・勝平は…。
もしも、現代日本にケン◯ロウが現れたら…?
大都会のド真ん中で、ほぼ半裸の格好。
本人は至って熱く真面目なのに、周囲から見たらとんちんかん…いや、チョードン引き。
『北斗の拳』や『ドラゴンボール』はそういう背景だから成り立ってるのであって、リアルだったらチョーヤベェ。まあ、そんなもんだろうね。
そんなギャップをパロディとギャグで闘う。
そう、俺は終末の戦士。
カツアゲされそうになった気弱な大学生・啓太を助ける。
そう、俺は終末の戦士!
そんな終末の戦士に最大の脅威、試練が訪れる。
遂に終末の時が…?
否! それは、桜の木の下、天真爛漫な笑顔と共にやって来た。
啓太と同じ大学に通う女子大生・ハル。
な、何だ、この感情は…!? ドキドキして、ホワ~ンとして、芽生える感情は…?
一体俺は、どうしたと言うんだ…!?
ケン◯ロウ、現代日本に現る!…からの、
ケン◯ロウ、初恋をする!…みたいな。
初めての恋にドギマギドギマギ。チョー不器用で、頬も赤くなっちゃったりして、上手くも喋れない。中坊か!
来る終末に備えてきた戦士。
そんな彼が挑む闘いというのが、“恋戦”。
ひょっとしたら、バトルよりも激しく厳しい闘いかも…?
劇画タッチの終末バトル・アクションかと思いきや、おバカな熱血ラブコメというギャップ。
作者は『デトロイト・メタル・シティ』の人。
脚本は『翔んで埼玉』の人。
あ~、なるほど。
『テルマエ・ロマエ』も加えれば、大真面目おバカコメディはもはや一つのジャンル。
それを体現した“戦士たち”。
これまで演じてきた熱血キャラのイメージを逆手に取った伊藤英明。ムキムキのボディから繰り出す全身全霊のギャグは、熱演? 自虐?
終末の戦士は勝平以外にもいた!
蛇戦流の使い手・守!
馬跳流の使い手・正義!
龍咆流の使い手で最強の終末の戦士・英雄!
そんな彼らも闘っていた…!
解散後勝平と同じく恋をし、片想いに苦しむ守。『北斗の拳』で言うとレイみたいな長髪男に扮した大貫勇輔。
解散後尾崎の歌に救われ、仲間の中坊ヤンキーらと共に大人への不信に抗う。ケツ叩く熱演の山本“メフィラス”耕史。
『北斗の拳』で言うと一応ラオウに当たるのかな…? 英雄に至っては…。小澤征悦が立ち塞がる。
他の終末の戦士も集って、対立とか共通の敵とかいよいよ本格バトル展開になるのかと思いきや、NO!
恋する熱血男たちのマジ恋トーク。
さらには英雄もハルに想いを寄せていて、恋のライバル現る!
一応拳は交えるが、雰囲気は劇画アクションでも、やってる事や台詞は小学生レベル。
それでも彼らは熱く、本気。
青春はバカな目的の為に奪われ、その青春を取り戻そうとする…いや、今謳歌中。そんな翻弄された彼らの悲哀もちょいとミソ。
拳で語り合って分かり合って、バトル漫画風。
告白も分かち合う。
日本って、平和な国。
ピュアなハルを演じた上白石萌歌の魅力やキュートさは桜の美しさ級。
ヘタレ&ツッコミ役の西畑大吾。一番救って欲しいのは彼の日常だよね…?
いい加減な古田新太師範もさることながら、実況警官コンビがウケた。やたら無戒殺風拳に詳しい彼らは何者…?
終末から世界を守るべく宿命づけられた男たち。
だが、守るべき世界は無かった。
そんな彼らの存在する意味は…?
守るべき平和が無かったら、その時ヒーローは…?
自分が幸せになる番。
ヘンで滑稽だけど、ユニークで新しいヒーローの在り方。
不器用だけど、さりげない優しさ。
真っ直ぐで、熱くて、ブレない、己の信じる道の行き方。
どんだけドン引きされても、笑われてもいい。
そんな漢の姿に、男惚れする。
これが俺の闘う恋路。
そう、俺は終末の戦士!
カッペイ!
次の週末待ってます。
…と思ったら、ラスト、まさかの急展開!
マジモンのケン◯ロウになっちゃった!
次いでに、ハルまで…! “カッペイ&ハル”って、“アントマン&ワスプ”かよ!
でもやっぱり、次の終末待ってます。